米Sprintと米IBMは,顧客サービスの拡充に関して5年間にわたる数十億ドル規模の提携を結んだ。両社が米国時間2月4日に発表したもの。Sprint社は,IBM社Business Consulting Services部門の協力を得て,「製品やサービスと,市場の変化にリアルタイムで対応可能な,より柔軟かつ拡張性に優れた顧客サービスの提供を目指す」(両社)。

 IBM社は,適切な顧客の区分化,顧客からかかってきた電話の効率的なルーティング,顧客対応時間の短縮,1回の電話対応による問題解決などを支援する。また,現在他社が運営しているSprint社のコール・センターの管理を,一部引き継ぐ予定である。Sprint社は,インタラクティブ音声対応システムやWWWベース・サービスを導入し,自社の顧客向けセルフサービス・ツールを強化する。

 Sprint社はIBM社との提携により,今後3年間で,顧客サービス関連費用を約5億5000万ドル削減できると見込んでいる。

 IBM社IBM Global Services部門担当上級副社長のDoug Elix氏は,「当社と提携することで,Sprint社は有益な顧客関係を長期にわたって確立できるばかりか,大幅なコスト削減を実現できる」と述べた。

 また両社は同日,製品の共同開発についても明らかにした。IBM社は自社のカスタマイズ可能なオンデマンド・ソリューションに,Sprint社のPCS無線サービスと音声/データ関連製品を統合して企業ユーザーに提供する。

 一方Sprint社は,IBM社のアーキテクチャ「Service Provider Delivery Environment(SPDE)」を導入する。SPDEは,通信事業者がコストを抑えつつ,新しい音声,テキスト,インターネット・サービスを導入できるようにするためのフレームワークで,オープンな標準仕様を採用している。Sprint社の企業ユーザーはSPDEを利用して,デスクトップ環境をモバイル通信環境に接続できるようになる。Sprint社は,SPDEの導入に約1億ドルを投資する計画である。

 「独立した無線/有線ネットワークという概念は,急速に過去のものとなりつつある。今後は,ネットワークとデスクトップ環境をモバイル環境に統合することが重要になるが,これは1社が独自に達成できることではない」(Sprint社会長兼CEOのGary D. Forsee氏)

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