スパム防止技術を手掛ける米Commtouchは,「米国で2004年1月よりスパム対策法『CAN-SPAM Act』が施行されたにも関わらず,1月に出回ったスパム・メールの件数は,昨年12月と比べほとんど変わらない」などとする調査結果を,米国時間2月4日に発表した。

 Commtouch社によると,CAN-SPAM法が定める規定を無視したスパム・メールは98%以上に達する。スパム業者は相変わらず,紛らわしいアルファベット(aの代わりに@,Bの代わりに8など)をタイトルや本文に使用しており,有効なメール・アドレスと住所を記載することなしにメールを送信している。また,受け取りを拒否する返送先やWWWリンクも提供していない。

 Commtouch社執行副社長のAvner Amram氏は,「スパム業者が法規制をまじめに受けとめていないことは,1月のスパム・メールの件数をみれば明らかだ。CAN-SPAM法は,スパム・メールの減少にあまり効力を発揮していない」と述べた。

 同社によると,スパム業者はコンテンツ・ベースのフィルタを通過するために,アルファベットを入れ替える方法を考え出した。通常,英文を読む場合,単語を構成するアルファベットを1文字ずつみるのではなく,単語をひとかたまりとして認識する。このため,その単語の最初と最後の文字さえ正しければ,その他のアルファベットの順序は重要でないという。(例:Aoccdrnig to a rscheearch at an Elingsh uinervtisy, it deosn't mttaer in what oredr the ltteers in a wrod are, the olny iprmoetnt tihng is taht the frist and the lsat ltteer is at the rghit pclae.)

 また,電子メール・セキュリティ技術を提供する米Postiniは同日,1月のスパム/ウイルス被害状況ついて発表した。Postini社が1月に処理した電子メールのうち,スパム・メールが占める割合は79%で,2003年12月の80%からほぼ横ばいとなった。

 同社は1月に40億通以上の電子メールを処理したが,そのうちウイルス感染メールは約2900万通だった。2003年12月の約520万通と比べ約5.6倍も増加した。「Mydoom」が猛威をふるっており,昨年の「Sobig.F」を上回る勢いで感染が広がっているという。なお同社は,Mydoomの最初の検出から5日間で,1200万コピー以上遮断した。

 2003年1月に同社が遮断したウイルスのワースト10は以下の通り。

■2003年1月のウイルス被害状況

1.   mydoom     22,640,250
2.   klez        1,680,054
3.   dumaru      1,297,591
4.   urlspoof    1,292,004
5.   swen          475,444
6.   sober         441,027
7.   mimail        272,179
8.   sobig         197,080
9.   inor          170,123
10.  bugbear       114,861

出典:Postini社

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