オランダのRoyal Philips Electronicsと米IBMが,無線ICタグ(RFID)とスマート・カードによる顧客システムを共同開発すると米国時間1月26日に発表した。サプライ・チェーン管理や小売/資産管理業務向けのRFIDソリューションと,金融,電子政府,運輸,イベント・チケット処理用のスマート・カード・ソリューションを対象とする。

 これによりPhilips社は,スマートカード用の接触/非接触LSI技術と,世界的な電子商品コード(EPC)の標準仕様に対応したRFID用LSIソリューションを提供する。それに対しIBM社はサービス事業部門のGlobal Servicesを通じ,コンサルティング,プロジェクト管理,導入サービスを担当するほか,カスタム化したソフトウエアも手がける。「スマート・カードとRFID導入を容易に行えるよう,総合的な作業を段階的に進める」(両社)

 最初の共同プロジェクトとして,両社はPhilips社の半導体部門で利用するRFIDシステムを開発する。台湾の高雄にある半導体工場と,香港にある配送センターで,ウエハ用ケースとカートンをRFIDでタグ付けし,製造,配送サプライ・チェーン,在庫管理/制御の業務を改善するとともに,顧客満足度の向上も図る。なおシステムの構築作業は既に2003年11月から行われており,2004年中には稼動できる見込み。

 Philips社は「当社はRFID事業を早期顧客から大市場向けに拡張し,世界規模の対応能力とプロジェクト管理/システム・ソリューションの経験が求められる大型プロジェクトに一変させる」としている。「IBM社の協力により,当社は経験とRFIDを提供するだけでなく,大手小売業者,消費者向け製品メーカー,輸送会社向けの総合エンド・ツー・エンド・ソリューションを扱えるようになる」(Philips社)

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