国際レコード産業連盟(IFPI)は英国時間1月22日,オンライン音楽配信に関する調査結果を発表した。米国では,米Apple Computerの「iTunes Music Store」,米Roxio傘下の米Napsterの「Napster」,米RealNetworksの「Rhapsody」といったサービスが好調だが,2004年は米国以外でも有料オンライン音楽配信サービスの利用が増える見込みだ。

 「音楽業界のインターネット戦略は折り返し地点に差しかかっている。違法な音楽ファイル交換に対抗した合法的なオンライン音楽配信サイトが急速に普及しつつあり,世界中にその影響が広がっている」(IFPI)

 Apple社,Napster社,RealNetworks社などが,2004年前半に海外でのサービス展開を発表するとみられるほか,欧州では,約50万人がすでに30以上の合法的音楽配信サイトに登録している。レコード会社が合法的音楽配信サイトに対する音楽カタログのライセンス供与を続けるため,2004年は利用者数が急速に増加する見通しである。

 英On Demand Distribution(OD2)のシステムを利用して有料ダウンロードを提供している「MSN Music Club」「Virgin Downloads」「Tiscali Music Club」「HMV Digital Downloads」「Fnac」「TDC musik」「Karstadt」「MTV」などのオンライン・サイトでは,2003年に需要が大幅に伸びたという。さらに,ドイツでは企業間プラットフォーム「Phonoline」が2004年初頭にサービスを開始する予定である。

 また,違法ファイル交換撲滅キャンペーンが奏功し,米国と欧州の両方で大衆の認識が高まっている。デンマーク,フランス,ドイツ,英国では消費者の66%が,許可無く音楽をオンラインで配信することは違法だと理解しており,54%が違法なファイル交換を行った者に対する訴訟を支持している。ファイル交換ユーザーに対する訴訟や警告メッセージ,20カ国の大学でのキャンペーン展開,国際的教育サイト(www.pro-music.org)の開設などにより,違法なファイル交換は過去9カ月間で10億件から8億件に20%減少した。

 IFPIで会長兼CEOを務めるJay Berman氏は,「合法的オンライン音楽配信事業に携わる者にとって,今回の調査結果は真の変化を裏付けるものであり,明るい材料になるだろう」と述べた。

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