米Eastman Kodakは,事業の中核を従来のフィルムとカメラからデジタル市場に移行するにあたり,従業員のおよそ20%を削減する。同社は,デジタル市場注力により達成したマイルストーンと経費削減計画を米国時間1月22日に明らかにした。

 同社は,9月にデジタル製品への取り組みを拡大する意向を明らかにしており,1月には米国,カナダ,西欧にて従来の銀塩カメラの販売を停止すると発表していた。

 9月の発表以来,デジタル市場への注力によって同社は,デジカメ,CR,医療用デジタル画像システムを含むいくつかのデジタル市場において売上高を伸ばした。レントゲン技師向け「KODAK DIRECTVIEW PACS System 5」,消費者向けデジカメ「KODAK EASYSHARE」を含むデジタル製品による経済的成果も上がっているという。

 また,歯科画像のPracticeWorks社,医療用の画像保存/通信システム(PACS)のAlgotec Systems社,高速インクジェット印刷のScitex Digital Printing社(現在はKodak Versamark社として経営)を買収し,デジタル市場への進出を拡大しているとしている。

 今回発表されたリストラ計画では,2007年までに8~10億ドルの経費削減を目指す。世界の7万人の従業員のうち,およそ20%にあたる1万2000~1万5000人を削減。施設の一部も縮小,または閉鎖を予定しており,面積にして全体で3分の1が縮小される。

 従業員の縮小と施設閉鎖は,今後3年間に渡って行なわれる。これには,13~17億ドルの現金および現金以外の費用が発生する。内訳は,7~9億ドルが従業員解雇,6~8億が建物と設備の処理費用となる。

 「これらの計画は,市場の現実がもたらした結果であり,Kodak社の将来の持続的で実益のある成長を支援するものである。同計画は,Kodak社が強化しているデジタル市場だけでなく従来の市場での成長にも必要不可欠である。成功するためには,市場と顧客の要求に応えるべくより競争力があるビジネス・モデルを構築しなければならない」(同社社長のAntonio Perez氏)

 同社が同日発表した2003年第4四半期の業績によれば,純利益は急速に減少している。前年同期の純利益1億1300万ドル(1株あたりの利益は39セント)に対し,当期の純利益は1900万ドル(同7セント)だった。これは,アナリストによる平均的予測だった1株あたりの利益,51セントを大きく下回った。

 当期における売上高は37億ドルに達し,前年同期の34億ドルからおよそ10%の伸びを見せた。しかし,為替の影響を除いた場合は4%の増加に留まる。

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