米In-Stat/MDRが米国時間1月14日に,家庭向け無線LAN機器市場に関する調査結果を発表した。同社の見積もりによると,2003年における無線LANカードおよびアクセス・ポイントの出荷台数は2270万台で,前年の720万台に比べ214%も増えるという。2003年の売上高は17億ドルに達する見込みで,前年の7億ドルに対して140%の成長となる。

 In-Stat/MDR社は,「2003年に同市場をけん引したのは,IEEE802.11g対応製品の登場と,極めて低価格になったIEEE802.11b機器」と説明する。また,Wi-Fi機能を内蔵するノート・パソコンも家庭での無線LAN普及に貢献したという。

 しかしIn-Stat/MDR社上級アナリストのGemma Paulo氏は,「価格の急激な下落が,同市場の売上高を停滞させる重大な要因となっている」と指摘する。「ただし製品を大量に出荷することで,価格低下が急速ながらも,売上高が伸びている」(同氏)。

 「2003年は,家庭内のパソコンとAV機器が無線接続され始めた記念すべき年であった。安価な家庭用ネットワーキングを提供する多くのメーカーが,2004年に,メディア・ストリーミング機能を備えたIEEE802.11g対応無線メディア・アダプタをリリースする」(In-Stat/MDR社)

 そのほかの主な調査結果は以下の通り。

・Wi-Fi用LSIの分野では,米Broadcomと米Atheros CommunicationsがIEEE802.11gおよびIEEE802.11g/a製品で上位に並ぶ。ノート・パソコンを購入する消費者が増える結果,米Intelのモバイル技術「Centrino」も受け入れられる

・2003年にIEEE802.11b/gは家庭市場で大きく伸びたが,2004年にはIEEE802.11g製品の価格低下のペースが速くなり始め,出荷台数でIEEE802.11bを上回る可能性がある

・欧州の家庭で無線LAN導入が急速に進んだ。家庭向けの出荷台数でみると,欧州市場が全世界に占める割合は2002年の9%から,2003年には15%に拡大した。In-Stat/MDR社はこの理由を,「2002年後半から2003年を通し,ブロードバンド接続を利用する家庭が欧州で急増したため」と分析する

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