米Novellは米国時間1月13日,ドイツSUSE LINUXの買収手続き完了を明らかにするとともに,「SUSE LINUX Enterprise Server」を使用する企業を対象にした免責保証プログラムを発表した。「Linuxに向けられた攻撃からユーザー企業を法的に保護することを目的とする」(Novell社)

 Novell社は同日,SUSE社の買収手続きを完了。買収総額2億1000万ドルを現金で支払った。これにより,Novell社は米IBMから5000万ドルの資金提供を受ける。IBM社の投資については,すでに2003年11月に発表済みである。

 Novell社は今後,世界規模の技術サポート,コンサルティングやトレーニング・サービス,ネットワーキングおよびセキュリティ機能に加え,デスクトップ・パソコンやサーバー用などの幅広い企業向けLinux製品を提供する。

 今回発表した免責保証プログラムは,Novell社の顧客に対して第三者が著作権侵害で訴訟を起こした場合に適用される。「SUSE LINUX Enterprise Server 8」の登録ユーザーと,2004年1月12日以降アップグレード・プロテクションに加入し,Novell社あるいはSUSE社のチャネル・パートナと技術サポート契約を結んでいるユーザーを対象とする。

 「Novell社は,Linuxの繁栄に向けて取り組んでいる。今回発表した免責保証プログラムにより,企業におけるLinux普及を阻んでいる障壁を取り除く」(Novell社CEOのJack Messman氏)

 Novell社は,UNIXとUnixWareに関して,「独自の契約上の所有権と知的財産権を保持している」と主張している。

 なお,米SCO Groupはこれに対し,「UNIXの知的財産,ソース・コード,著作権などの所有権は当社にある」と反論。UNIXおよびUnixWareの所有権に関する書類をSCO 社Webサイトで公開している。

 ちなみにLinux攻撃への対策としては,米Hewlett-Packard(HP)が同様の免責保証を提供し,米Red HatはLinux関連組織の訴訟費用を援助する基金を設立している。また,Linux普及促進を目指す非営利団体Open Source Development Lab(OSDL)も,訴訟費用を援助する基金「Linux Legal Defense Fund」の設立を1月12日に発表しており,IBM社,米Intel,米MontaVista Softwareなどからすでに300万ドル以上の寄付を受けているという。

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[発表資料(Novell社のプレス・リリース1)]
[発表資料Novell社のプレス・リリース2)]
[発表資料(SCO社のプレス・リリース)]