ドイツのInfineon Technologiesは,TwinFlash技術をベースとした512MビットのNANDフラッシュ・チップを現地時間1月7日に発表した。同製品は,同社とイスラエルのチップ・メーカーであるSaifun Semiconductorsの合弁会社Infineon Technologies Flashが開発した。初期段階の製造は,ドイツDresdenにおけるInfineon社のDRAM製造施設で開始された。

 「Infineon社は,フラッシュ・メモリーの製造によりメモリー製品の幅を大きく拡張した。TwinFlash技術により,DRAM製造に使われる既存の設備を使ってフラッシュ・チップが製造できるようになった。そのため,製造施設に投資することなく新しい市場に参入できた」(Infineon社メモリー製品事業グループCEOのHarald Eggers氏)

 TwinFlash技術は,Saifun社のNROM技術によって実現された。単一のトランジスタ・セルで1ビットの浮遊ゲートを持つ技術と比較して40%のサイズ縮小が可能になる。同社は将来的に同製品の記憶容量を2Gビットまで拡張する予定。

 米GartnerのDataquestによれば,2004年世界のNANDフラッシュ・メモリー市場は,2003年の33億6000万ドルから30.8%増の44億ドル規模に成長するという。Infineon社は,2007年までに同市場のトップ3を目指す。

 512Mビットのフラッシュ・チップは,TSOPパッケージで提供される。デジカメ,PDAに使われるSD,MMC,小型フラッシュ・カード,メモリー・スティックなどの市場をターゲットとする。また,PC,ノートPC,USBドライブなどのデータ交換に使われるUSBフラッシュ・メモリー・ドライブ向けのストレージ・メディアとしても利用される。NANDフラッシュ・チップは,高速データ転送が可能であり,音声とビデオの記録と再生がリアルタイムで実行できる。

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