オランダのRoyal Philips Electronicsと韓国のSamsung Electronicsは,ハードウエアに依存しないAPI仕様「Universal Home Application Programming Interface(UH-API)」の策定と推進に共同で取り組む。両社が現地時間1月6日に明らかにしたもの。

 民生電子機器の多機能化が進んでおり,それを支える搭載ソフトウエアの数も日増しに増えている。このため,独立系ソフトウエア・ベンダー(ISV)が提供するミドルウエアやアプリケーション・ソフトウエアと,チップ・メーカーの半導体システムの仲立ちをする,安定したAPIのニーズが急速に高まっている。UH-APIは,そのような需要に応えることで,競争が激化するハードウエアやソフトウエアの開発期間を短縮するのが狙いという。

 両社は,UH-APIの策定,推進のほか,同仕様に準拠した半導体チップセットを開発する。Philips社は,半導体システム「Nexperia Home」を,Samsung社は高解像度テレビ向けチップセットをUH-APIに準拠させるという。UH-APIのドラフトは,2004年第1四半期に完成する見通し。

 UH-APIは,半導体プラットフォームのオーディオおよびビデオ関連部品の設定/操作を行う,一連のソフトウエア・インタフェースで構成する。現在,業界で普及している既存OSを補完する設計となる。

 Philips社Consumer Businesses部門担当執行副社長のLeon Husson氏は,「UH-APIの策定は,複雑化する民生電子機器が進化し続けるうえで,非常に重要な取り組みだ。現在は,各社固有の仕様があふれているが,さまざまな企業の製品機能に対応したAPIが確立することで,業界の流れは大きく変わるだろう」と説明する。

 また,Samsung社SOC研究開発開発センター執行副社長のHyung-Lae Roh氏は,「UH-APIの策定は,ハードウエアの開発を迅速化できる。メーカーはさまざまな機能やサービスを満載した新製品を市場に速やかに投入できるようになる」と述べる。

 両社がUH-APIの利用を見込んでいるのは,アナログ/デジタル・テレビ,セットトップ・ボックス,DVDプレーヤおよびレコーダ,ビデオ・レコーダ,家庭向けサーバーなど,消費者向けオーディオ/ビデオ・デバイス用の半導体プラットフォームである。

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