米IDCは,2003年第3四半期の世界セキュリティ機器市場について調査した結果を米国時間12月18日,発表した。工場出荷時の売上高は3億7910万ドルで,前年同期比22%増となった。侵入検知機器の成長が著しく,前年同期と比べ89%も増加した。最大分野は引き続きファイアウオール/VPN関連機器で,売上高は3億1770万ドルにのぼった。
「セキュリティ機器市場は2004年も堅調に推移するだろう。とりわけ,侵入検知機器の成長が期待できる。また,市場に新しいセキュリティ機器が投入されたことも,成長を後押しする要因となるだろう」(IDC,セキュリティ製品サービス担当調査ディレクタのCharles Kolodgy氏)
地域別にみると,米国と日本を除いたアジア太平洋地域のシェアがやや縮小した。西欧,日本,それ以外の地域のシェアが伸びた結果である。しかし,米国が相変わらず首位の座を保ち,売上高ベースのシェア45.3%を獲得。日本を除くその他の地域はすべて,前年同期と比べ2ケタの成長率を達成した。
上位5ベンダーはおなじみの顔ぶれとなり,米Cisco Systemsが首位を維持した。売上高は前年同期比12%増の1億3300万ドルだった。2位の米Netscreenは同91%増と,上位5ベンダーのなかで最も成長率が高かった。続くフィンランドのNokia,米SonicWALL,米WatchGuardの3社は,成長率と市場シェアが減少した。
Kolodgy氏は,「大手ベンダーの成長率は横ばいかやや減少する結果となったが,上位ベンダーはいずれも新製品を投入したばかりのため,この数値だけで市場の行方を判断するのは間違いである。需要が活性化していることから,新製品は今後数四半期の成長をけん引するはずだ」と予測する。
IDCによると,3つの高価格帯(2万5000ドル~4万9900ドル,5万ドル~9万9900ドル,10万ドル~24万9900ドル)すべてが,前年同期と比べ100%以上成長した。「10万ドル~24万9900ドルの最高価格帯が最も急速に成長し,前年同期比348%となった」(同社)
■2003年第3四半期の上位5ベンダーの工場出荷時売上高(単位:100万ドル) ======================================================================== ベンダー 2003年3Q 2003年3Q 2003年2Q 2003年2Q 売上高 売上高 市場シェア 売上高 市場シェア 成長率 ------------------------------------------------------------------------ Cisco 133.20 35% 119.31 38% 12% Netscreen 57.41 15% 30.05 10% 91% Nokia 42.52 11% 45.81 15% -7% SonicWALL 19.87 5% 21.72 7% -9% WatchGuard 12.64 3% 14.38 5% -12% その他 113.49 30% 79.75 26% 42% 合計 379.12 100% 311.02 100% 22% ======================================================================== 出典:IDC,2003年12月
◎関連記事
■2002年Q4の世界セキュリティ機器市場は前期比15%増,「ファイアウオールとVPNがけん引」
■「2003年Q1の世界セキュリティ機器市場,売上高は減少するも出荷台数は増加」,米IDC
■「2006年にVPN/ファイアウォール市場は42億ドル規模に成長」,米Infoneticsが予測
■「注目の分野,製品,技術はこれだ!」――2003年後半のセキュリティ動向を予想する
■「侵入検出/防止システム製品の売上高は減少傾向,ただし今後は年平均32%のペースで拡大へ」,米社の調査
■「サービス・プロバイダによるVPNとセキュリティ・サービスへの投資が続く」,米調査
■欧州のVPN機器/サービス市場は,2001年から2005年にかけての4年間で350%増加する---,Infonetics Research社
■「セキュリティと事業継続性に関する世界IT支出,2007年には1160億ドル超に」,米IDCの調査
[発表資料へ]