米ハーバード大学と米IBMは米国時間12月17日に,グリッド・コンピューティングの構築で協力体制を敷くことを明らかにした。同大学全体にわたる規模の「Crimson Grid」を構築し,学生や教員が,生命科学,エンジニアリング,応用科学といった分野の研究,データ共有,コラボレーションに利用する。

 ハーバード大学とIBM社は,プレテスト用グリッド・ツールやプロトコルを共同で開発する。オープンな標準規格をベースにし,他の学術機関もグリッド・コンピューティングの利点を活用できるようにする。

 「グリッド・コンピューティングは,複雑な文献の検索からゲノムの探求まで,あらゆる問題を解決するためのツールを提供してくれるだろう。すぐに利用できるグリッド・コンピューティングのインプリメンテーションを作成し,学生たちが共通のリソースを使って共同研究やナレッジ共有を進められる環境を目指す」(ハーバード大学Engineering and Applied Sciences学部CIO兼ITディレクタのJayanta Sircar氏)

 IBM社は,世界の学術機関にIBM社製品を寄贈するプログラム「IBM Shared University Research(SUR)」を通じて,ハーバード大学に「eServer pSeries」サーバーと「BladeCenter」サーバーを提供する。同大学Engineering and Applied Sciences学部ITグループがIBM社のコンピュータ科学者と協力し,Crimson Gridのコア開発環境となる「Grid Reference System Implementation」を実装する。同大学University Information SystemsとArts and Sciences学部が,ネットワーク・バックボーン・サービスを組み込み,グリッドを完成させる。

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一般企業にとってのグリッド・コンピューティング(1)

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