米Gartnerは,米国のIPセントレックス市場に関する調査結果を米国時間12月11日に発表した。それによると,現在IPセントレックスは通信事業者の中核事業になりつつあり,大手キャリアは新サービスの準備や展開を進めているという。Gartner社は「今後2年間で,同市場の規模が5倍に拡大する」と予測する。

 IPセントレックスとは,企業の内線電話をIPベースのLANで実現する手法。拠点ごとに構内交換機(PBX)を設置する必要がなくなり,管理を集中して行えるようになる。

 「IPセントレックスを導入すると,データと音声を1つのネットワークに集約し,管理コストを削減できるので,企業は確実に経費を減らせる。さらに電話管理業務のアウトソーシングが可能になる。つまりIPセントレックスは,内線電話の管理要員を確保できないような小企業が主として採用するサービスだ」(Gartner社ネットワーク・サービス調査グループ主任アナリストのSteve Koppman氏)

 同社は,「現在IPセントレックス・サービスを手がけているのはニッチ市場を対象とする地域の小規模事業者だが,2004年末には,大手キャリアのサービスが多数を占める」と予測する。「大手キャリアは,企業買収なども行い,市場シェアを拡大するだろう」(Koppman氏)

 IPセントレックスを提供するキャリアに対し,Koppman氏は「販売時に新機能を紹介するなど,新たなネットワーク対応VoIPサービスとして魅力的な付加価値を提供すべき」とアドバイスする。「エンド・ユーザーは,あいまいな導入理由や,将来提供されるかもしれない機能だけでは,IPセントレックスに移行する気持ちにはならない」(同氏)

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