近距離無線規格Bluetoothの標準化団体Bluetooth Special Interest Group(SIG)の役員企業が,12月9日にカリフォルニア州サンノゼで開催されたカンファレンス,Bluetooth Americasで会合を設け,Bluetooth技術が抱えている問題などについて議論した。Bluetooth SIGが米国時間12月10日に明らかにしたもの。会合では,同団体が前月承認した規格「Bluetooth Core Specification Version 1.2」の新機能であるAdaptive Frequency Hopping(AFH)などが議題となった。

 AFHは,Bluetoothと同じ2.4GHzという周波数帯を使用するコードレス電話機,電子レンジ,IEEE802.11b/g対応無線LAN機器とのあいだで,電波の干渉を避ける技術。AFHを使用すると,2.4GHz帯のなかから利用可能な周波数を選んで通信するので,ほかの機器と一緒にBluetooth対応機器を使っていても高速なデータ転送が行えるという。

 Bluetooth Core Specification Version 1.2で導入されたそのほかの新機能などは以下の通り。

・音声処理の強化:
 エラー検出手法を用いて,騒音がある環境での音声接続を向上する

・接続確立の高速化:
 Bluetoothに対応する機器同士の接続を迅速化する

・下位互換性の確保:
 Bluetooth Core Specification Version 1.1対応機器に対する下位互換性を備える

 Version 1.2規格について,米Silicon Waveシステム・エンジニアのJoel Linsky氏(同氏はBluetooth SIG無線ワーキング・グループ副会長を務める)は「信頼性を確保したことが最大の成果」と述べる。「新機能はいずれも,エンド・ユーザーに影響する信頼性の実現に貢献している。たとえば,Bluetooth機器検出の高速化,音声品質の改善,干渉しやすい状況下での速度向上といった効果が得られる。さらに,バッテリ駆動時間が長くなり,近くにあるほかのシステムに与える干渉を減らしたことで,接続失敗が少なくなり,使い勝手が良くなった」(同氏)

 なおVersion 1.2規格のAFHに対応した消費者向け製品は,2004年第1四半期に出荷開始となる見込み。「今後1年~1年半で,多数のVersion 1.2対応製品が市場に登場するだろう」(Bluetooth SIG)

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