米Oracleは,グリッド・コンピューティング環境向けアプリケーション・サーバー・ソフト「Application Server 10g」をリリースしたことを,米国時間12月10日に発表した。
Application Server 10gは標準規格を採用し,J2EE,企業向けポータル・ソフトウエア,高速キャッシングに完全対応する。また,ビジネス・インテリジェンス,身元管理,RAD(rapid application development),無線機能,Webサービスにも対応する。「ビジネス・プロセスやWebサービスの統合機能など,600を越える新機能によって,アプリケーション管理の簡素化を実現する」(同社)
企業は,業界標準のサーバー,ストレージ機器,ソフトウエアを必要に応じて仮想化し,システムもしくはグリッド全体の処理能力を利用できる。個別のアプリケーション用に新たに容量を追加する必要がないため,コストの削減につながるとしている。
また同ソフトは,新旧アプリケーションの機能を統合した合成アプリケーションや,Webサービスの開発および管理も支援する。企業が安全なWebサービスを実装/管理できるように,Webサービスの普及促進団体WS-Iの仕様に準拠するほか,.NETプラットフォームのWebサービスとの相互操作性も提供する。
Application Server 10gは,以下の3種類を用意する。
・Java Edition:プロセサあたり500ドル,指名ユーザー(Named User Plus)あたり100ドル。
・Standard Edition:プロセサあたり1万ドル,Named User Plusあたり200ドル。
・Enterprise Edition:プロセサあたり2万ドル,Named User Plusあたり400ドル。
またOracle社は同日,グリッド対応J2EEアプリケーションとWebサービスを作成する開発者向けに「JDeveloper 10g」のプレビュ版を発表した。サービス指向アーキテクチャの利用を可能にする「Application Development Framework(ADF)」を提供することで,共通のビジネス・サービスを使った効率的なアプリケーション開発が可能になるという。「開発者は高レベルのビジネス・ロジックを定義したり,処理フローの最適化に集中できる」(同社)
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