米OracleとCERN(欧州合同素粒子原子核研究機構)は,Oracle社がグリッド・コンピューティング研究プロジェクト,CERN openlab for DataGrid applicationsに参加すると,英国時間12月3日に発表した。Oracle社は「グリッド・コンピューティング技術の開発に協力するとともに,まったく新しいコンピューティング/データ管理ソリューションの研究を行う」としている。さらに同社は,3年間で総額150万ユーロ(約181万ドル)の資金を提供し,装置購入や,CERNの環境内でデータベース・ソフトウエア「Oracle Database 10g」の動作試験を行う若手研究者の活動を支援する。

 CERN openlab for DataGrid applicationsは,CERNの研究者と企業がデータ・グリッド向けの最新ソリューションを共同で開発するためのプロジェクト。グリッド用試作アプリケーションの開発/試験を行っている。参加企業には,Oracle社のほかに米Enterasys Networks,米Hewlett-Packard,米IBM,米Intelがある。

 現在CERNは,次世代加速器Large Hadron Collider(LHC)の建設を進めている。LHCは年間数10億Gバイト(1000Pバイト)のデータを生成すると見込まれ,これを処理/分析するために,世界各地の素粒子研究者1万人弱とコンピュータ数万台をLHCの検知器に接続するLHC Computing Grid(LCG)が必要となる(関連記事)。

 Oracle社欧州/中東/アフリカ担当上級副社長のSergio Giacoletto氏は,「複数年にわたる密接な協力関係をCERNと結べたのは,当社がグリッド対応のOracle 10gを製品化していることが大きい」と述べる。「CERNの開発した最新グリッド技術は,LHCプロジェクトの一環として試験運用する。その後これら技術は商用化され,当社や顧客が恩恵を得ることになるだろう」(同氏)

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一般企業にとってのグリッド・コンピューティング(1)

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