米Wind River Systemsが,Linuxの普及促進を目指す非営利団体Open Source Development Lab(OSDL)と,ソフトウエア開発ツール関連の業界団体Eclipse Consortiumに参加した。Wind River社とOSDLがそれぞれ米国時間12月1日に明らかにしたもの。同社は,OSDLによる通信業界/ネットワーク市場向けLinuxの開発と,Eclipseの組み込み向けオープン開発環境の構築に協力する。

 Wind River社は,組み込みソフトウエア/サービスを手がける大手企業。代表製品に,リアルタイムOS「VxWorks」がある。「当社のネットワーク・インフラ顧客の多くが,VxWorksをLinuxと組み合わせて使用している」(Wind River社市場部門担当副社長兼ジェネラル・マネージャのTony Tryba氏)

 OSDLは,データ・センターや通信業界へのLinuxおよびLinuxアプリケーション展開を目的とし,2000年に設立された団体。ポートランド,オレゴン,横浜にデータ・センターを持つ。米Computer Associates,富士通,日立製作所,米Hewlett-Packard,米IBM,NECなどのIT企業から支援を受け,独立運営している。

 一方Eclipseは,オープンな開発プラットフォーム作成を目的とする団体。同プラットフォームはプラグイン・アーキテクチャを採用しており,異なるサプライヤが開発したソフトウエア・ツールを同時に利用できる。米メディアの報道(InfoWorld)によると,2001年11月にIBM社,米Borland Software,米Red Hat,ドイツSUSE LINUXなどが設立し,その後米Oracle,日立,富士通,ドイツSAPといった企業が加わったという。

 OSDLに参加するWind River社は,通信業界/ネットワーク市場向けLinuxを開発するCarrier Grade Linux Working Group(CGL WG)のメンバーとして活動する。「組み込み分野は,Linuxのなかでも特に成長が速く最も活気のある領域の1つだ。Wind River社の持つ組み込みシステムに関するノウハウとリーダーシップは,CGL WGに極めて大きな効果をもたらしてくれる」(OSDL CEOのStuart Cohen氏)

 またEclipseに対しWind River社は,Eclipseのオープンなフレームワーク/プラットフォームとの互換性を備え,統合可能な組み込みツールの開発作業を支援する。なおWind River社によると,「当社はEclipseメンバーのなかで,最大の組み込みソフトウエア企業」という。

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[発表資料(OSDLのリリースその1)]
[発表資料(Wind River社のリリースその1)]
[発表資料(Wind River社のリリースその2)]