米Gartnerは,携帯電話機買い替えの際に,事業者に関わらず同一番号を保持できる番号ポータビリティ制度(LNP:Local Number Portability)が施行されたのに伴い,事業者変更に伴うコストについて調査した結果を,米国時間11月24日に発表した。それによると,企業はより有利なサービス・プランを提供する事業者に変更することで,最大35%のコスト削減を実現できる。しかし,従業員1000人分を別の事業者に変更するための費用として,30万ドル以上を見積もる必要があるという。

 事業者変更に伴うコストの74%を占めるのは,新しい携帯電話機,バッテリなどの部品,車載システムなどの付属品を購入するための費用である。次いで,買い換えの手間と時間,電話帳やデータベースの更新,アカウント情報の変更といった導入費用が16%を占める。管理やエンド・ユーザー関連の費用が最も少なく,全体の10%を占める見通しだ。

 Gartner社Research部門担当副社長のPhillip Redman氏は,「LNPの施行によって,これまで事業者変更をためらっていた企業も,改めて変更を検討するだろう。しかし,従業員全員の事業者を変更する場合は,変更にかかる総コストを把握する必要がある。現在利用している事業者との契約キャンセルによって,違約金などが発生する可能性もチェックすべきだろう。また,事業者を決める際は,サービス料金よりも通話エリアや顧客サービスを重視すべきだ」と指摘した。

 またGartner社は,企業がまとまった数の従業員の事業者変更を検討している場合,2004年前半までは控えた方がよい。「サービス・プロバイダがユーザー変更のプロセスに慣れるまで待つことで,希望の番号を間違いなく手に入れ,迅速なサービスを受けることができるだろう」(同社)

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