米Sun Microsystemsは,企業向けデスクトップ・パソコン用Javaシステム「Java Desktop System」の提供に関して,中国政府の支援を受ける技術企業のコンソーシアムChina Standard Software(CSSC)と,2003年末から複数年の提携関係に入る。Sun社が米国時間11月17日に明らかにした。

 現在,中国,韓国,日本,ベトナム,イスラエル,インドなどが,国内のITインフラ整備に向けて,さまざまな奨励プログラムを実施しており,Sun社はこれらの取り組みにおけるJava Desktop Systemの採用促進に向けて国際的なキャンペーンを展開している。「中国のIT格差解消を推進するCSSCが,デスクトップ・ソフトウエアの開発および導入で,Java Desktop Systemを採用した」(同社)

 CSSCはSun社との提携により,Java Desktop Systemを基盤としたオープンソースのデスクトップ向け製品を開発し,年間約50万~100万台のコンピュータにインストールする計画だ。最終的には,「少なくとも2億台のコンピュータにインストールする見通し」(Sun社)という。

 CSSCジェネラル・マネージャのHan Naiping氏は,「CSSCの使命は,コスト効率の高い,高品質のデスクトップ・ソリューションを,中国の国民に提供することだ」と説明する。「Sun社との提携は,我々の技術戦略を推し進める手助けとなる」(同氏)

 また,Sun社ソフトウエア部門担当執行副社長のJonathan Schwartz氏は次のように述べている。「CSSCをはじめ,中国の情報産業部(MII)や科学技術部(MOST)と協力体勢を敷くことで,中国の大勢のユーザーが,LinuxとJava Desktop Systemを基盤としたデスクトップ・ソリューションを通じて,ITの恩恵を享受できるようになる」(同氏)

 ちなみに,中国では1986年以来,国内のIT産業確立に向けて,MIIやMOSTがCSSCを積極的に支援している。また中国政府は,国の技術基盤としてLinuxとオープンソースを採用することを表明し,国内IT製品がこうした標準規格に準拠することを義務づけている。

◎関連記事
Sunが「Java System」で問うソフト・ビジネスの新モデル
米Sun,サーバーやデスクトップなど6種類の分野に向けたJavaソフトウエアの製品構成を発表
日中韓が足並み揃えてオープンソース推進団体を12月にも設立
クライアント市場に挑み始めるLinux具体的案件に提案求む顧客が3割に迫る
オープンソースの業務利用促進で30社が仮想企業設立,官公庁/自治体と大手企業を狙う
「電子政府が脱Windowsへ」の真相
次世代OSで日中韓が“三国同盟”(上)
「中国のネット・ユーザーは6800万人,市場競争と政府の取り組みが成長を後押し」,米調査

[発表資料へ]