「多くの企業は無線LANを導入して,生産性向上とコスト削減を実現している」。米Cisco Systemsfは,企業による無線LANの利用状況について調査した結果を,米国時間11月12日に発表した。

 調査はCisco社が,独立系調査会社の米NOP World Technologyに依頼して行ったもの。100人以上の従業員を抱える米国の中~大企業400社以上を対象に実施した。

 無線LANを利用することで,ユーザーによる1日当たりのネットワーク接続時間が延びている。2003年は,接続時間が平均3.5時間以上増加し,ユーザーはこれにより「生産性が最大27%向上した」と回答した。なお2001年の調査では,無線LANによる接続時間の増加は1.75時間だった。

 また,企業が従業員の家庭に設置した無線LANや公共の無線LANアクセス・ポイントにより,従業員は時間や場所にかかわらず,仕事ができるようになった。この柔軟性は時間の節約につながっており,ユーザーは1日当たり「約80分節約できた」と回答している。2001年の調査では「約50分」だった。

 社内で無線LANを利用する従業員の割合は,2001年が16%だったのに対して,2003年は約25%。ユーザーが無線LANによって1日当たりに節約した時間をもとに算出すると,企業は2003年に従業員1人当たり年間約1万4000ドル節約できたことになる。この節約コストは,2001年の7000ドル強から倍増した。回答企業は今後2年間に,従業員の50%が無線LANにアクセスできるようになると予測していることから,削減可能なコストはさらに増える見通しだ。

 無線LANによって,業務の正確さが向上したとするユーザーは3分の2だった。医療業界のユーザーでは,その割合が70%に達している。「無線LANによって,患者がいる場所でデータの入力とアクセスができるため」という。

 また調査から,無線LANの利用増加がノート・パソコンの普及とも関係していることが分かった。無線LAN利用者の80%が,ノート・パソコンを使ってネットワークにアクセスしている。今後,無線LAN機能を装備するノート・パソコンが増えるにつれ,無線LANを導入する企業も増加する見通しだ。

 「企業は,無線LANが生産性の向上に有用で,その導入規模が大きいほどROI(投資回収率)が高いことを認識し始めている。無線機能を組み込んだノート・パソコン,無線を介した音声通信,使いやすい無線LAN管理および運用技術などによって,企業の無線LAN導入は今後さらに加速するだろう」(Cisco社副社長兼ジェネラル・マネージャのBill Rossi氏)

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