米Microsoftは,2003 Professional Association for SQL Server(PASS)Community Summitで米国時間11月12日に,データベース・サーバー・ソフトウエア「SQL Server」の次期版(開発コード名はYukon)の「Data Transformation Services(DTS)」と呼ぶ抽出/転送/ロード(ETL)技術を紹介した。またMicrosoft社は,SQL Server 2000用の開発支援ツール「Best Practices Analyzer(BPA)」の発表も行った。

 YukonのDTSについて,同社は「アーキテクチャを完全に設計し直した」と説明する。「データベース・アプリケーション開発者やデータベース管理者(DBA)は,エンタプライズ・レベルのETL機能をYukon導入後すぐに利用できるはずだ」(同社)

 グラフィカルなデバッグ機能や,ファジー・ルックアップなどの変換機能により,アプリケーション開発が容易になるという。同社の挙げるそのほかの主な特徴は以下の通り。

・高性能/大規模なシステム構築に対応しただけでなく,トランザクション対応,再起動性の確保,データ・エラー処理,データ浄化などの機能も備える

・分析サービス,報告サービス,Webサービスとの密な連携が可能。メタデータを共有することで,設計時の作業性を向上でき,アプリケーション実行時にはエンド・ツー・エンドのビジネス・インテリジェンスで威力を発揮する

・包括的なAPIを備えているため,カスタム化したデータ・ソース,変換,ワークフロー・タスクなどのオブジェクトによるDTSの拡張が可能。同APIはネイティブ・コードとマネージド・コードの双方から利用できるので,性能や簡潔さ,安全性など求める目的に応じて使い分けられる

 一方BPAは,管理しやすいSQL Serverアプリケーションを構築するためのツール。SQL Server導入時に設定などの見落としを防止できるうえ,データベース管理にも利用できるという。同社は同ツールのベータ版を,同日より同社のWebサイトで提供している。

 また同社は,SQL Serverの利用状況について,米Winterの調査結果を引用する形で発表した。それによると,SQL Serverは最大の規模を持ち最も利用頻度の高いデータベースの1つであるという。Winter社が実施した調査において,4カテゴリのトップ10リストに20社以上のSQL Server顧客が入ったほか,2社が「All Environments(全環境)」カテゴリでランク・インした。「この調査結果は,SQL Serverが大規模なエンタプライズ・クラスの業務を楽に処理できることを示している」(Microsoft社SQL Server担当副社長のGordon Mangione氏)

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