国際レコード産業連盟(IFPI)は,インターネットでラジオのように音楽を放送するWebキャストに関して,複数国におけるライセンスの取得を簡素化する。IFPIが英国時間11月11日に明らかにしたもの。

 現在,例えば欧州でWebキャストを行う場合,各国でライセンス取得をする必要があり,その手続きは煩雑となっている。このような現状を改善するために,世界的に通用するWebキャストの国際ライセンスを設ける。Webキャストのプロデュサはライセンスを承認する参加国のいずれかでライセンスを取得すれば,他の国で再びライセンスを申請する必要がない。

 IFPIは2年前に,インターネットで同時放送を行うサイマルキャストの国際ライセンスを策定し,33カ国が参加した。IFPIは今後数週間に,Webキャストの国際ライセンスを承認する各国の署名を得る予定という。「米国,フランス,ドイツ,インド,スペイン,英国をはじめ,年内に約30~40カ国の同意を得られる見通しだ」(IFPI)

 音楽業界では,オンライン環境の新たなビジネス・モデルや収入源となる可能性があるWebキャストを,音楽配信の新たな手段として推進している。Webキャストは,米国では既に浸透しており,ライセンスを取得している企業数は1250社にのぼる。国際ライセンスの確立は,複数国にまたがるライセンスの需要が高い欧州などで,Webキャストの普及を後押しすると考えられている。

 「これまで,Webキャストのライセンスを複数国で取得するのは,非常に骨が折れる作業だった。国際ライセンスの実現により,Webキャストの普及に弾みがつき,オンライン音楽サービス分野は大きく前進するだろう」(IFPI会長兼CEOのJay Berman氏)

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