米Motorolaは,同社のテキサスにある研究所で複数のゲートが独立して機能するトランジスタの開発に成功した。同社が米国時間11月10日に発表した。新しい垂直構造のトランジスタは,「Multiple Independent Gate Field Effect Transistor(MIGFET)」と呼ばれる。

 同社によれば,この新しいトランジスタのゲート構造は,既存の半導体製造プロセスで製造できる。より狭いスペースでより高い処理力の実現が可能になると同時に,消費電力も削減されるように設計されている。

 「顧客は,引き続き速度,サイズ,消費電力の改善を求めている。Motorola社のゲート構造の研究は,顧客製品を改善するための新しい技術の開発に向けたコミットメントの一部である」(同社半導体製品部門のJoe Mogab氏)

 同業界では,従来のトランジスタ構造を改良することにより,狭いスペースでより高い処理能力を得るために,垂直型,2重ゲートのトランジスタを実験してきた。これらの試験的な構造では,既存のプレーナ(2次元)型と比べてより優れたパフォーマンスを提供するが,2つのゲートが電気的につながっているため制約があった。

 Motorola社は,ゲート構造を電気的に分離させた。そのため,複数のゲートが同時に機能させることもできれば,それぞれのゲートを独自の電圧で制御することもできるようになる。複数のゲートを動的に制御することによって消費電力の削減が可能になる。また,現在多数のトランジスタを接続して実行しているロジカル機能も単一のトランジスタで実行できるようになる。垂直構造により,チップ設計者は,より狭いスペースでより多くの機能を搭載可能となる。

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