米国半導体工業会(SIA:Semiconductor Industry Association)は米国時間11月5日,2003年~2006年における世界半導体市場の展望について調査した結果を発表した。それによると,同市場は2003年に前年比15.8%増の1630億ドル規模,2004年には前年比19.4%増の1946億ドル規模に達する見通しだという。

 その後,成長速度は急激に弱まり,2005年は前年比5.8%増の2060億ドル,2006年は同6.6%増の2196億ドルとなる見込み。

 地域別でみると,米大陸は2003年に前年比1.9%増の319億ドル規模,2004年は同17.7%増の375億ドル規模に成長する。2005年は382億ドル規模で,同1.7%増に減速する。2006年は同6.4%増の406億ドル規模に達する。

 欧州の売上高は,2003年に前年比17.3%増の326億ドル,2004年に同14.7%増の374億ドルとなる。2005年は同5.9%増の396億ドル,2006年は同6.3%増の420億ドル。

 日本の売上高は,2003年に前年比24.3%増の379億ドル,2004年は同17.9%増の447億ドル。2005年は同4.6%増で468億ドル,2006年は同4.4%増の489億ドルとみる。

 日本を除いたアジア太平洋地域が,最も強い伸びをみせる。2003年は前年比18.6%増の606億ドル規模,2004年は同23.4%増の750億ドル規模となる。2005年,2006年はいずれも同8.2%増加し,2005年に815億ドル規模,2006年に882億ドル規模となる見通しだ。

 米Altera会長兼社長兼CEOのJohn Daane氏は,「市場の拡大が一気に加速する。あらゆる分野で成長が予測されており,見通しは極めて明るい」と述べた。

 同氏は,半導体業界の展望について次のような見解を明らかにした。「半導体の開発コストは,新たな製造プロセス・ルールが採用されるたびに膨らんでいる。このため半導体メーカーは,以前にも増してROI(投資回収率)に目を向ける必要がある。コストと柔軟性に重点をおき,マイクロプロセサ,マイクロコントローラ,DSPなど,さまざまな市場に売り込める,プログラム可能なアーキテクチャやロジックに注力する必要がある」(同氏)

 また米In-Stat/MDRも同日,2003年における半導体市場の見通しを発表した。同市場はIn-Stat社が10月に発表した予測通り,前年比16.7%増の1642億ドル規模になるとみる。出荷数量とASP(平均販売価格)の伸びが成長を後押しすると予測しており,前年と比べてそれぞれ10.9%増加,5.3%上昇する見通しだ。また,市場は2004年も成長を続け,前年比25.9%増の2068億ドル規模になる。

 同社が明らかにしたその他の予測は以下の通り。

・半導体工場の生産能力は,2001年第3四半期に64.2%まで落ち込んだが,2003年第2四半期には85.9%まで回復した。

・現在は,資本投資レベルが低く,半導体メーカーは将来的な投資に慎重な姿勢を取っている。しかし経済の回復とともに,生産能力は90%前後に達する見通しである。

・ASPは上昇傾向にあるが,資本投資が抑制されているため,長期間継続する可能性は低い。今後,市場の成長に大きく貢献するのは,出荷数量の伸びとなる。

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[発表資料(SIAのプレス・リリース)]
[発表資料(In-Stat/MDR社のプレス・リリース)]