「8月は,140万世帯の家庭が,パソコンに保存してあったデジタル音楽ファイルをすべて削除した」。米NPD Groupが米国時間11月5日,デジタル音楽ファイルに関する調査結果を発表した。全米レコード協会(RIAA)が違法ダウンロードを行ったユーザーを訴える施策に乗り出し,メディアがこれを取り上げたため,不当なデジタル音楽交換の防止に大きな効果が現れている。

 調査は,オンラインでパソコンを利用する4万人のユーザーを対象に実施したもの。ちなみに,2003年5月の調査では,パソコンからデジタル音楽ファイルをすべて削除した家庭は60万6000世帯だった。

 ファイルを削除した家庭の80%が「保存していたデジタル音楽ファイルは50曲以内」で,「200曲以上」の家庭はわずか10%だった。

 また,RIAAの訴訟により,オンラインのファイル交換(PtoP)利用も減少している。NPD Group社によると,PtoPサービスでデジタル音楽ファイルを入手した家庭は8月から9月にかけて11%減っており,ダウンロードされた音楽ファイル数は9%減少した。

 しかしNPD Group社が9月に行った別の調査では,消費者がRIAAに対して批判的なイメージを抱きつつあることが明らかとなっている。最近PtoPを利用した回答者の約3分の2は,RIAAの訴訟行動により,レコード会社に対して「これまでより幾分」あるいは「これまでよりはるかに」否定的な意見を示している。

 「RIAAの訴訟はファイルを大量に交換したユーザーを対象としているが,少数のファイルを入手したユーザーにも影響を与えており,ファイル交換が違法であることがユーザーに浸透しつつあることを示している。ただし,音楽業界は訴訟によって生じたマイナス・イメージを払拭するための取り組みを行なう必要がある」(NPD Group社バイス・プレジデントのRuss Crupnick氏)

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