米IDCは米国時間11月3日,2003年における世界IT市場と今後の展望について調査した結果を発表した。それによると,2年間におよぶ記録的なマイナス成長と業界の低迷を経て,2003年の市場は緩やかな回復基調に向かっている。2004年には,IT支出が前年比5%増の9160億ドルへ,電気通信サービスによる売上高が前年比4%増の1兆ドルに達する見込みである。

 IDCは55カ国を対象に,ハードウエア,ソフトウエア,サービスに関する支出について調査した。

 IDC,IT支出アナリストのStephen Minton氏によると,「経済状況の回復を控えめに見積もった場合の予測」だという。「先ごろ発表された米国経済の成長が維持され,国際経済の改善が続けば,さらにIT支出が伸びる可能性がある」(同氏)

 地域別にみると,2003年のIT支出は欧州,日本,カナダにおける低迷を,米国や発展途上国の伸びが補うため,プラス成長となる。中南米がとりわけ好調に推移し,2004年のIT支出は前年比7%増,2005年のITサービスの売上高は2ケタ成長になる見通しだ。

 分野別にみると,ハードウエアの出荷台数は伸びているが,価格競争の激化が売上高の成長に歯止めをかけている。ソフトウエアとサービスによる売上高は回復傾向にあり,2004年に企業による信頼回復が進むにつれ,復調のペースが早まる見通しだ。「経済状況の回復は,多くのITベンダーに良い影響を与えている。ドット・コム時代の成長率には到底及ばないが,これまで抑制されていた,IT部門におけるミッション・クリティカルなインフラへの需要が一気に加速している」(Minton氏)

 2004年におけるデータ・サービスの売上高は前年比16%増で,電気通信機器の売上高は同7%増にとどまる。電気通信機器の成長率が2ケタ台の11%に達するのは2005年とみる。「電気通信分野は,企業の設備投資が増える2004年にようやくプラス成長になる。しかし,難局を脱すれば回復も早く,2007年の成長率は前年比16.5%になるだろう」(IDC,電気通信分野アナリストのLudovica Bruno氏)

◎関連記事
「IT支出の大幅な回復は2004年,2006年に成長が促進」,米ガートナーのCEOが予測
「欧州のVPN/セキュリティ関連支出,2003~2007年に69%拡大」,米調査
「ITサービス市場は細分化,ブランド力強化が重要」と,米調査 
「コストと品質の兼ね合いが分かる“ITサービス市場”を作る」
「北米アプリ・ソフト市場は製造/金融業界が牽引,2007年は540億ドル超規模に」,米IDCの調査
セキュリティと事業継続性に関する世界IT支出,2007年には1160億ドル超に」,米IDCの調査 
「米国銀行業界ではIT支出が加速傾向,2007年には600億ドル規模」,米IDCの調査
「企業のIT予算,CIOは今後12カ月で平均6.4%増やす予定」,米誌の調査

[発表資料へ]