米IDCは,2003年第3四半期のPDA(携帯情報端末)市場に関する調査結果を米国時間10月28日に発表した。それによると,2003年第3四半期におけるハンドヘルド機の世界出荷台数はおよそ236万9000台で,前年同期と比べて1.1%増加,前期比では9.4%増加した。

 メーカーの首位は米Palmの子会社Palm Solutions Group,2位はシェアが急上昇した米Hewlett-Packard(HP)が維持し,3位のソニーとの差を広めた。

 「今期の業績は,競争と企業と個人における支出状況が厳しいPDA市場において,珍しく肯定的な兆しがみえた。世界の2500万人を越えるユーザーに個人情報管理がキラー・アプリケーションになると証明されたため,ハンドヘルド機器は,市場に残るために新しい分野,用途,技術を発展させなければならない。ホリデー・シーズンの需要が特別に高くなければ,2003年におけるハンドヘルド機器市場は,2002年よりさらに急激に下降して2000年レベルまで戻るだろう」(IDC社アソシエイト・リサーチ・アナリストのDavid Linsalata氏)

 メーカー別の主な結果は次の通り。

・Palm社の市場シェアは,現行モデルの夏季シーズン最終セールにおける売り上げが予測よりも低調だったため前期の41.8%から35.6%に縮小した。同社は第4四半期の始めに新しい3種類のデバイス,「Zire 21」「Tungsten E」「Tungsten T3」の発表を予定している。

・HP社は,前期の17.6%からシェアを24.5%まで大きく伸ばした。これは,6月にリリースした5種類の新しいデバイスに加え,8月にも新しい「h1935」モデルを発表したため。首位のPalm社との差を大きく縮めた。

・ソニーは,売り上げを多少伸ばしたが,市場シェアは前期の11.9%から11.5%に縮小した。これはHP社の出荷増加が大きな要因として考えられる。

・Dell社は,アジア太平洋地域の市場において,堅実な成長をみせたが,売り上げが低調な欧州市場と旧型のAxim製品ラインによって相殺された。先ごろ発表された新モデル「Axim X3」「Axim X3i」によって第4四半期は再び売り上げの上昇を見込む。

・東芝は,6月下旬に「e350」「e750」を発表しており,市場シェア5位の地位を守った。シェアは,前期の3.5%から0.1%延ばして3.6%となった。

■2003年第3四半期PDA世界市場における
上位ベンダーの出荷台数と市場シェア(速報値)
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順位      ベンダー      出荷台数     市場シェア
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1         米Palm       843,149          35.6%
2         米HP         581,000          24.5%
3         ソニー       272,607          11.5%
4         米Dell       135,600           5.7%
5         東芝          86,318           3.6%
その他                 450,059          19.0%
合計                 2,368,733         100.0%
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出典:IDC社 (2003年10月27日)

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