米Intelと米国のがん研究所Fred Hutchinson Cancer Research Centerが,がんの研究/診断/予防にナノ・テクノロジを応用する手法「Intel Raman Bioanalyzer System」を共同開発すると,米国時間10月23日に発表した。

 Intel Raman Bioanalyzer Systemは,ラマン分光という技術をベースとする手法。Intel社はこの手法を,半導体製造時にごく少量の物質の化学的組成を分析する目的で利用している。

 分析対象にレーザー光線を照射すると,対象物質内の分子が励起され,特定の波長の光(ラマン分光)を放射する。物質はそれぞれ固有の化学組成を持っているため,放射する光も物質によって異なる。したがって,この光をラマン分光器のセンサーで捉えて分析すれば,物質の組成を知ることができる。「ラマン分光は,化学的なバーコード・タグに相当する」(Intel社)。

 Fred Hutchinson Cancer Research CenterはIntel社の協力を得て,「この種の装置としては世界で最も精度の高い」(Intel社)測定装置の開発を行う。この装置について,同研究所の研究者は「がんなどの疾病に対する発病しやすさの予測や診断に使う人間の血清に関し,タンパク質の構成などを調べることに役立つだろう」と述べる。

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