米VeriSignは,同社の100%子会社であるNetwork Solutionsを米Pivotal Private Equityに売却する。両社が合意に達したことを,VeriSign社が米国時間10月16日に発表した。売却金額は約1億ドル。Pivotal社は6000万ドルを現金で,残り4000万ドル相当を上位劣後債で支払う。

 売却手続きは,規制当局の承認を経て,2003年第4四半期に完了する見通しである。なおVeriSign社は今後もNetwork Solutions社の株式の15%を保有する。

 VeriSign社は2000年にNetwork Solutions社を買収した際,ドメイン名の登録窓口となるレジストラ業務と,データベース化したドメイン情報をDNSサーバーで運用するレジストリ業務を獲得した。今回売却対象となるのはレジストラ業務である。

 「.com」や「.net」を含むレジストリ業務は,VeriSign社Internet Services Group部門の要であり,今後も同社が継続する。「現在,100億件以上のトランザクションを毎日処理している」(同社)

 VeriSign社の会長兼CEOのStratton Sclavos氏は,「Network Solutions社の売却によって,インターネットと電気通信ネットワークのインフラ・サービスという当社の中核業務に集中できるようになる。一方,Network Solutions社も独自の戦略をWeb市場で展開できる」と説明した。

 Pivotal Private Equity社CEOのJ. Jahm Najafi氏は,「Network Solutions社には400万以上の膨大な顧客がいる。今後も高品質のサービスや革新的な製品を提供し,新たな流通チャネルを構築することで,市場の拡大を目指す」と述べた。

 VeriSign社は今後,Internet Services Group部門とTelecommunications Services Group部門を通じて,以下のサービスを提供する。

■Internet Services Group部門
・企業向けセキュリティ・サービス「Security Intelligence and Control Services(SICS)」:認証サービスや,ネットワーク,アプリケーション,電子商取引向けセキュリティ・サービスを企業やWebサイトに提供する。またオンライン小売店には,支払い用ゲートウエイとオンライン詐欺防御サービスを用意する。

・ドメイン管理サービス「Naming and Directory Services」:「.com」「.net」「.cc」「.tv」などのドメインを含む,DNSデータベースの管理およびDNS参照サービスを提供する。また,複雑なドメイン名とIPアドレスを所有する大企業向けにデジタル・ブランド管理サービスも展開する。

■Telecommunications Services Group部門
・有線/無線/次世代キャリア向けに,Signaling System 7(SS7)方式の信号処理と接続,インテリジェント・データベース・サービス,支払い管理サービスなど,管理型通信サービスを提供する。

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