米Microsoftはスイスで現地時間10月13日に,電気通信業界に向けた取り組みについて明らかにした。同社会長兼チーフ・ソフトウエア・アーキテクト(CSA)のBill Gates氏が,スイスのジュネーブで開催中の「ITU Telecom World 2003」で,同業界においてソフトウエアが果たす役割などについて語ったもの。

 Gates氏は,「電気通信業界の未来は明るい」とし,新世代サービスの提供におけるソフトウエアの重要性を強調した。同社各事業部門の主な施策は以下の通り。

・Microsoft TV部門は,Internet Protocol対応テレビ配信(IPTV)の開発に取り組む。ケーブル事業者や通信事業者が,既存の広帯域ネットワークを介して新世代のテレビ・サービスを,より効率的に提供できるようにする。カナダのBell Canada,インドのReliance Infocommなどと協力し,新たなサービスの構築とテストを行う。

・Microsoft Mobile Devices部門は,フランスのFrance Telecom傘下のOrange社と,「Windows Mobile」ソフトウエアを搭載したスマートフォン「SPV E200」を発表した。デジタル・カメラとBluetooth機能を内蔵する。

・Windows部門は,Windowsにおける無線ネットワーキング機能を強化し,Wi-Fi無線LANに対応したホットスポットの利用促進を図る。「Windows XP」では,ホットスポットの検出と接続を簡素化し,面倒な手順を踏むことなく安全な無線アクセスを行えるようにする。

・Communications Sector部門は,スイスのSwisscomと提携し,企業向けモバイル・データ・ソリューションを提供する。Swisscom社傘下のSwisscom Eurospot社およびSwisscom Mobile社の無線広帯域サービスと,Windowsおよび「.NET Platform」を組み合わせる。

 またGates氏は,開発者,技術プロバイダ,サービス・プロバイダにWebサービスの積極的な活用を呼びかけた。同氏は,同業界の標準規格確立が,以下の環境の実現につながるとしている。

・大規模なエコシステムを構築し,業界企業各社に事業機会を与える

・相互接続性のある製品の市場投入時間を短縮する

・量産体制へ素速く移行し,コスト削減と普及促進を図る

・互換性を確保しつつ,機能拡張や性能向上を推進する

◎関連記事
米Microsoftと米Motorola,「Windows Mobile」搭載のスマートフォンを発表
「米国の消費者は,スマートフォンよりもシンプルな携帯電話を好む」,米Jupiterの調査
「2007年までに世界の携帯電話ユーザー数は20億人に達する」,米In-Stat/MDRが予測を発表
「2003年Q2の携帯電話機出荷台数は前期比2%増,買い換えが約2/3を占める」,米調査
米マイクロソフト,Windows XPに「WPA」サポート機能を追加
米Microsoft,Pocket PC向け新プラットフォーム「Windows Mobile 2003」を発表
米Intradoが米Microsoftと提携,無線通信事業者に位置情報ソリューションを提供
米Microsoft,Windows用プロトコル技術の開示に関するライセンス条件を変更

[発表資料へ]