米Sun Microsystemsが米国時間10月13日に,ハイ・エンドおよびミッド・レンジ向けの新型プロセサ「UltraSPARC IV」を発表した。2個の「UltraSPARC III」コアを単一LSIとして統合したプロセサで,動作周波数は1200MHz。Sun社では,「アプリケーション処理速度は,同一動作周波数のUltraSPARC IIIに比べ1.6倍~2.0倍速い」としている。2004年前半に利用可能とする。

 UltraSPARC IVは,同社の新プロセサ設計「Throughput Computing」によるプロセサ。単一プロセサ上に対称型マルチプロセシング(SMP)を組み込むことで,プロセサ1個で数10スレッドの同時実行を可能とする「Chip Multithreading(CMT)」技術を採用している。ただし今のところ同プロセサで同時に実行できるスレッド数は2つ。

 2個のUltraSPARC IIIコアを搭載し,各コア用にそれぞれ8Mバイトのレベル2キャッシュを内蔵。最大16GバイトのDRAMにアクセス可能な内蔵メモリー・コントローラと,「Sun Fireplane」相互接続ファブリック用システム・インタフェースは両コアで共有する。

 同社の既存プロセサと同様バイナリ互換性を備えるため,「開発ツール,アプリケーションなどこれまでの投資を活用できるほか,現在システム内で『Sun Fire』を使用している顧客の投資を無駄にしないで済む」(同社)。

 プロセサの製造は米Texas Instrumentが行う。製造プロセス・ルールは130nmで,動作周波数は当初1200MHz。将来プロセスを90nmに微細化するとともに,動作周波数の高速化も計画しており,「スループットを現行UltraSPARC IIIの3倍~4倍に高める」(同社)。

 同社は今後CMT技術の高速化を推し進め,2006年に同社初のブレード・プラットフォームを提供する予定という。「その時点で,スループットは現在のUltraSPARC IIIiシステムの最大15倍に達する」(同社)

◎関連記事
米サンが新プロセサ設計「Throughput Computing」を発表。「5年後にスループットを30倍に」
米サンが動作周波数1.2GHzの「UltraSPARC III Cu 1200」を発表。0.13μmルールを採用し,消費電力は1.05GHz版の30%減
米Intel,3.20GHz版「Xeon」プロセサを発表,「ピン互換で既存投資を生かす」
米Intel,1.50GHz版「Itanium 2」や2.8GHz版「Xeon processor MP」などを発表
米AMD,64ビット・プロセサ「Opteron」を発表。米IBMなどが採用表明
米Appleが「Power Mac G5」を発表,米IBMと共同開発した64ビット・プロセサを搭載
米Motorolaが半導体事業をスピンオフ,「今後は通信と統合電子システム分野に注力する」
2003年Q2の世界サーバー市場,前年同期比0.2%増でこれまでの減少傾向に歯止め

[発表資料へ]