米MicrosoftのMicrosoft TV部門は,ケーブル・テレビ/通信事業者向けのIPテレビ(IPTV)配信ソリューションを米国時間10月9日,発表した。同ソリューションを利用すると,既存のブロードバンド・ネットワークを使って「より容易かつ効率よく次世代テレビ・サービスを提供できる」(Microsoft社)という。

 同IPTVソリューションは,ビデオ管理から視聴者向け配信までをカバーする包括的なエンド・ツー・エンドのサービス。「事業者は,容易にIPTV事業に参入でき,迅速に規模を拡大できる」(同社)。有料テレビ・サービスの提供が可能で,数100万人規模の視聴者数への配信にも対応する。

 同社のメディア・プレーヤ「Microsoft Windows Media 9 Series」を採用している。「効率がMPEG-2に比べ約3倍,MPEG-4に比べ約2倍高いので,標準または高精細のビデオをライブやオンデマンドで配信する際に,必要な帯域幅を少なくすることが可能」(同社)

 また「Windows CE .NET」など,IPTVセットトップ・ボックス用のさまざまなWindows系組み込みOSに対応できる設計を採用した。配信するビデオ資産を保護するために,デジタル著作権管理(DRM)技術の搭載も予定している。

 機能としては,迅速なチャンネル切り替え,ビデオを使ったマルチメディア番組ガイド,標準的なテレビで利用可能な複数のピクチャ・イン・ピクチャなどを提供する。将来は,高精細テレビ,次世代デジタル・ビデオの録画,ビデオ・オンデマンド(VOD)といった機能にも対応するという。

 同ソリューションの開発には,米Harmonic,ノルウェーのTANDBERG Television,米Juniper Networks,米Intel,英Pace Micro Technology,フランスのThomsonが協力を表明している。

 さらにMicrosoft社とカナダのBell Canadaはそれぞれ現地時間10月9日に,同IPTVソリューションを使ったテレビ・サービスの試験運用を共同で実施することを明らかにした。またMicrosoft社によると,インドのReliance Infocommも同様の試験運用を計画中という。

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[発表資料(その1)]
[発表資料(その2)]