米IBMが,ITインフラの運用を自動化してコストを削減するためのソリューション「Web Infrastructure Orchestration」を,米国時間10月8日に発表した。IBM社では,「数週間かかっていたアプリケーション導入や機能拡張を数時間で完了できると同時に,演算リソースの利用率を2倍に高められる」とする。

 同社は,ITインフラ自動化の支援に向けた製品やライフサイクル・サービスを提供する取り組み「Project Symphony」(コード名)をパートナ企業とともに進めている。Web Infrastructure Orchestrationソリューションは,この取り組みにおける第2段の製品に当たる。同ソリューションでは顧客のIT環境に合わせ,サーバーの調整や追加を自動的に行う。その結果,「IT運用の合理化,リソースの最適化,管理コストの削減が達成できる」(同社)

 同社製ブレード・システム「eServer BladeCenter」をベースに,「WebSphere」「DB2」「Tivoli Storage Manager」「Tivoli Monitoring」「TotalStorage」といったソフトウエアおよびハードウエアで構成する。そして顧客の規定した業務ポリシーに従い,「Tivoli Intelligent ThinkDynamic Orchestrator」で協調させる。WWWサーバーに対する要求の変化を検知し,それに合わせて適切な動作を行うことで,「それまで数日間必要だった対応が数分で済むようになる」(同社)。

 「たとえば,OSやアプリケーション,データベースのロード,セキュリティやネットワークの設定には多くの手作業が必要で,5日から10日かかる。Web Infrastructure Orchestrationを導入するとこれらの作業を自動化し,人的エラーの危険性を最小限にするとともに,作業時間を短縮する」(同社)

 Web Infrastructure Orchestrationは,顧客の環境に応じて必要なモジュールだけを購入し,それらを組み合わせて運用できる。価格は2万ドルから30万ドル以上と,ハードウエア,ソフトウエア,サービスの構成に応じて異なる。

 なお米メディアの報道(InfoWorld)によると,同ソリューションは2003年10月31日より利用可能という。

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