「企業の枠を超えた情報共有化により,企業のセキュリティはこれまで以上に煩雑な,リスクの高いものとなる」。米AT&Tが米国時間10月8日,企業のセキュリティに関する調査結果を発表した。

 今回の調査は,AT&T社と英Economist Groupの企業情報部門Economist Intelligence Unit(EIU)が,世界の企業幹部237人を対象に共同で実施したもの。

 企業幹部は現状について「深刻なセキュリティ侵害に対する対策が不十分」と認めており,顧客データの収集・分析の必要性が高まったことで,セキュリティに関する不安も増大しているという。

 企業のセキュリティでは,社内ネットワークへの侵入を排除しながら,取引先など特定の外部者に対しては,企業データへのアクセスを許可することが課題となる。

 回答者の大多数が「商用データへのオンライン・アクセス権をビジネス・マネージャに与えるのは,セキュリティ・リスクの増大につながる」(85%),「取引先に対し,サプライ・チェーン情報のリアルタイム・アクセスを提供するのは不安」(73%)と答えている。

 とりわけウイルスやワームに対する関心は高く,98%が「社内のネットワークやデータを保護する技術(ソフトウエア)を導入している」と回答した。その一方で,社内の脅威に向けた関心は相変わらず低い。競合他社のスパイ活動に対する懸念はあるものの,実際に対策を導入しているのはほんの一部だ。

 さらに企業幹部の大半は,差出人が身元不明のメールに添付されたファイルを開封したり,自分の名前をパスワードに使用するなど,「社内でのセキュリティ徹底が不十分」と認めている。

 「今回の調査結果は,ネットワーク・インフラのセキュリティに対する意識は高いものの,実際は企業の大半が徹底していないことを示している」(AT&T社アプリケーション・サービス部門バイス・プレジデントのEric Shepcaro氏)

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