XML関連の標準化団体Organization for the Advancement of Structured Information Standards(OASIS)のメンバーは,複数のWebサービスを組み合わせるアプリケーション向けの汎用的でオープンなフレームワークを策定する技術委員会「OASIS Web Services Composite Application Framework Technical Committee(WS-CAF TC)」を発足させた。OASISが米国時間10月7日に明らかにしたもの。

 同TCの策定する仕様は,ロイヤルティ・フリーで相互接続性を備え,モジュール化されており,複合的なアプリケーションを構築できるという。「同仕様で実現可能なアプリケーションは,複数のWebサービスを組み合わせた単純なものから複雑なものまで幅広い」(同TC)

 WS-CAF仕様では,コンテキスト/連携/トランザクションを記述するWSDL定義と,SOAPヘッダー/ボディとして利用するメッセージ・フォーマットの提供を予定している。同仕様の基盤としては,英Arjuna Technologies,富士通,アイルランドIONA,米Oracle,米Sun Microsystemsが2003年7月に公開した「Web Service Context(WS-Context)」「Web Service Coordination Framework(WS-Coordination Framework)」「Web Services Transaction Management(WS-Transaction Management)」という3仕様を採用する。

 同TCを召集したArjuna社のMark Little氏は,「Webサービス標準において,トランザクション連携という大きな問題が残っている」と指摘する。「Webサービスを組み合わせて複合アプリケーションを作るには,処理の開始/終了や成功/失敗などサービス境界の設定,コンテキスト情報の作成/アクセス/管理,動作変化の通知など,相互接続性を備える仕組みが必要不可欠」(同氏)

 WS-CAF TCの主なメンバー企業は以下の通り。Arjuna社,富士通,IONA社,Oracle社,米SeeBeyond Technology,Sun社。

 なお同TCは,Business Transaction TC,Asynchronous Service Access Protocol(ASAP)TC,Web Service Business Process Execution Language(WSBPEL)TCといったOASIS内の技術委員会と協力するほか,World Wide Web Consortium(W3C)のXML Protocol/Web Service Architecture/Web Service Description/Web Service Choreographyワーキング・グループと情報交換する方針も明らかにしている。

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