米Sun Microsystemsと米Microsoftは,Java仮想マシン「Microsoft Java Virtual Machine(MSJVM)」のサポート期間を2004年9月30日まで延長することで合意に達した。両社が米国時間10月7日に明らかにしたもの。さらに両社は,Microsoft社のJavaユーザー向けWebサイトへのリンクをそれぞれのWebサイトに掲載することについても合意した。これにより,Microsoft社は同サイトでMSJVMのユーザーや開発者に対し,アップグレード情報やサポートの提供を行う。

 ただし両社は,契約金額など詳細な合意条件については明らかにしていない。

 両社のあいだで争われているJavaをめぐる係争は,次のような経過をたどっている。Sun社は1997年10月7日に,Microsoft社が自社製品に依存性のあるJava製品を出荷したとして提訴していた。両社は2001年1月23日に和解し,Microsoft社がMSJVMのサポート目的にSun社製ソース・コードおよび互換性試験スイートを利用できる期間を制限した(関連記事その1その2)。

 しかし両社は,「当初の和解で合意された期間が終わるまでに(製品から)MSJVM依存部分を排除することは難しい,という懸念を表明する開発者や企業が存在した」と説明する。「そこで我々は,MSJVMから(正式なJavaへ)の移行を安全に行えるよう,期限を延長することで合意した」(両社)

 米メディアの報道(CNET News.com)によると,Microsoft社は2004年1月1日にMSJVMのサポートを打ち切ることになっていたので,同日の合意によりサポート期間が9カ月間延長されたことになるという。

 この合意について,Microsoft社Windowsクライアント部門担当副社長のChris Jones氏は「双方の顧客の利益を保護するためSun社と協調できたことをうれしく思う」と述べる。「この合意は,移行作業により多くの時間がかかり,MSJVM対応の継続を強いられている顧客の状況に直接対処するものだ。Sun社との合意により,MSJVM依存部分の特定と移行作業にあと1年間かけられるようになった。当社はその期間中,MSJVMを使用している顧客への支援,移行ツールや関連情報の提供を確実に行う」(同氏)

◎関連記事
米Sunと米MSのJava訴訟,Java搭載の仮命令は差し戻し
米サン,「Javaの普及を妨害した」と米マイクロソフトを独禁法違反で提訴
米サンと米マイクロソフトがJava訴訟で和解,Javaのライセンス契約を打ち切る
米マイクロソフト,Java言語を「C#」に自動変換するツールを発表
「Java開発者よ来たれ」,米MSが開発ツール「Visual J# .NET」のベータ版
「Javaプログラマよ,.NETへおいで」――MSがJavaから.NETへの移行ツールを発表
Microsoftが「JUMP to .NET」を発表,Java開発者の.NET移行を図る
Java発展を狙うSunの“超”積極策――その真意と死角を探る

[発表資料(Sun社)]
[発表資料(Microsoft社)]