米Gartnerは米国時間10月6日,ITサービス市場に関する調査結果を発表した。同市場ではITサービス・プロバイダと大手技術ベンダー間でし烈な競争が繰り広げられている。このため,他社との差異化を図るブランド力の強化が,今後ますます重要になるという。

 調査は,ITサービス購入者とITサービス意思決定者197人を対象に,2003年4~5月にかけて実施したもの。「ビジネス/ITコンサルティング」「システム開発/統合」「ITアウトソーシング」「ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)」の4つのカテゴリに関して,回答者が想起するブランドを調査した。

 「ビジネス/ITコンサルティング」カテゴリでは,とりわけビジネス・コンサルティングに注力しているわけではないにもかかわらず,米IBM,米Hewlett-Packard(HP),米Microsoftの3社がトップ10にランクインした。なお,IBM社は4カテゴリすべてにおいて優位を誇っている。

 市場の細分化を反映して,回答者が想起した企業数の合計は「システム開発/システム統合」カテゴリで188社以上,「ビジネス/ITコンサルティング」カテゴリで159社に達した。一方で,「(企業名が)思い浮かばない」という回答も多かった。

 Gartner社主席アナリストのChristine Adams氏は,「調査対象となった4カテゴリではIBM社を除き,強力なブランド・イメージを確立している企業はない。市場に新たに参入する企業と大手企業のいずれも,ブランド認知度を高める余地があるということだ」と指摘した。

■ITサービスの各カテゴリにおけるブランド認知度

ビジネス/ITコンサルティングシステム開発/統合ITアウトソーシングBPO
1IBM(117人)IBM(97人)IBM(106人)思い浮かばない(120人)
2EDS(32人)思い浮かばない(53人)EDS(70人)ADP(53人)
3思い浮かばない(26人)EDS(24人)思い浮かばない(60人)IBM(37人)
4Accenture(25人)CGE&Y(17人)なし(28人)なし(32人)
5Deloitte(24人)Accenture(15人)HP(25人)EDS(15人)
Microsoft(15人)
記:複数回答あり
出典:Gartner社Dataquest部門(2003年7月)

 海外のプロバイダも健闘しており,「システム開発/統合」カテゴリでは回答者10人(全体の5%)が海外プロバイダを挙げた。また全カテゴリにおいて,インドのプロバイダを想起する回答者が多く,Infosys Technologies,Patni Computer Systems,Satyam Computer Services,Tata Consultancy Services,Wipro Technologiesの企業名が挙げられた。

◎関連記事
「コストと品質の兼ね合いが分かる“ITサービス市場”を作る」
米Accenture,新戦略のイメージ・キャラクターにタイガー・ウッズを起用 
「2008年のBPO市場は1460億ドル規模,ベンダーの誇大宣伝に要注意」,米企業の調査
「2003年のオフショアBPO市場は前年比38%成長の13億ドル規模」,米Gartnerの調査
「企業のIT支出,今後1年間で平均5.6%増額予定」,米誌の調査
「ITアウトソーシング市場は2002年も当社がトップ」,米IBMが米IDCの調査結果を引用
「セキュリティと事業継続性に関する世界IT支出,2007年には1160億ドル超に」,米IDCの調査
「買収と合併が進むITサービス分野,アウトソーシング契約は慎重に」,米ガートナー

[発表資料へ]