MPEGビデオ特許のライセンス管理会社,米MPEG LA(Licensing Administrator)は,デジタル著作権管理(DRM)に対応する製品の実現に必要な特許を集めて集中管理する取り組みを始めたと米国時間10月2日,発表した。MPEG LA社は「DRM Reference Model v 1.0」という規定を定め,DRM製品に必要不可欠な特許の収集とライセンスの一括供与を行う。現在同社は,DRM技術に関連する特許を提出するよう業界に呼びかけている。

 この取り組みについて,MPEG LA社CEOのBaryn S. Futa氏は「必須特許に効率良く対応しなければならない業界にとって,極めて重要」と説明する。「必要不可欠な知的財産をユーザーに対し,公正で合理的,非差別的に提供する。DRM実装の早い段階でこの取り組みをスタートさせることで,こうしたことに対する強い関心が得られる」(同氏)

 DRM Reference Modelでは,具体的なDRM処理方法や商品化に適したシステムの開発方法について詳しくは触れない。DRM機器/システム/技術間の相互接続性を条件とすることや,相互接続性の確保方法の記述も行わない。「特定のDRMシステムや適用範囲をベースとしたり,それらを記述したりしない」(同社)

 同社は,第1段階の特許提出をいったん2003年11月15日に締め切る。そしてDRM Reference Modelを推進する第2段階の作業として,2003年12月31日までに集めた特許の重要度などを評価する。続く第3段階で,ライセンスの一括供与条件について特許所有者と協議するとしている。

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