「大手モバイル・ネットワーク通信業者間の相互接続性が不十分な上,GSMやCDMAなど異なる通信方式があることから,北米のマルチメディア・メッセージング・サービス(MMS)市場は立ち遅れている」。米Frost&Sullivanは,北米のMMS市場に関する調査結果を米国時間9月29日,発表した。MMS市場の売上高は,2002年の200万ドルから,2009年には54億6000万ドルに達する見込みという。

 ただし北米では,ショート・メッセージング・サービス(SMS)市場で,相互接続性の問題が2001年まで解決しなかったことから,数百万ドルの収入を取り逃がした経緯がある。「このような事態が再び起こらないよう,モバイル・ネットワーク通信業者は慎重な対応が必要だ」(Frost&Sullivan社インダストリ・マネージャのKshitij Moghe氏)

 MMSはオープンなIPベースのため,異なるネットワーク通信業者間でもスムーズに機能するよう調整が行われている。MMSの本格的な普及は,MMSの規格や仕様に対応したカラー表示やカメラ内蔵型携帯電話の入手状況と値ごろ感に大きく左右されるという。

 「新機種の販売価格は現在250ドル以上だが,市場で普及するには100~125ドルまで引き下げる必要がある。ネットワーク通信業者にとっては採算性の面で注意が必要だ」(Moghe氏)

 さらにMMSの普及には,口コミ宣伝などのバイラル・マーケティングが一役買うという。ゲーム,着信メロディ,ビデオ・クリップなどの有料コンテンツ・サービスがMMSの普及を後押しするだろう。ただし,これらのダウンロード済みコンテンツは他人に手軽に転送できるため,デジタル著作権管理(DRM)などの対応が必要となる。

 「MMS市場は初期段階にあり,アプリケーション,デバイス,サービスの不足が足かせになっている。しかし,2005年頃には新たなMMSや,MMS対応の携帯電話も市場に出回るなど,大きく成長するだろう」(同氏)

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