米Eastman Kodakが,デジタル技術への取り組みを商業分野に拡大することで2006年に160億ドル,2010年に200億ドルという売上高を実現させる計画を米国時間9月25日,発表した。ニューヨークで開催した投資家向け会議で明らかにしたもの。「2006年の160億ドルという売上高は,現在予測できない一時的な費用を除外すると1株当たり利益3.00ドルに相当する」(同社)としている。

 「一般消費者,医療,商業分野向けフィルム画像処理製品/サービスを基盤に置き,デジタル市場のリーダーといえる均整のとれた多様性のある企業を目指す計画」(同社)で、2006年の売上高目標を実現するため同社は,すでに2003年に実施した取引も含め,約30億ドルの投資や企業買収を予定しているという。

 Kodak社会長兼CEOのDaniel A. Carp氏は,「従来型の製品に対する需要が,特に成熟した市場で落ちている」と述べる。「こうした現実を考慮して,デジタル市場の要求に対応できるよう当社は事業内容を刷新するとともに,デジタル商業事業を強化する」(同氏)

 同社が基盤とする3分野は以下の通り。

・一般消費者:
 同社のデジタル・カメラ事業「EasyShare」の強化と,家庭や店舗での写真プリント枚数増大を図る。米Lexmark Internationalの役員を務めていたBernard Masson氏と,オリンパス光学工業からKodak社に移籍した小島佑介氏が担当する。

・医療:
 医療用画像のデジタル化について市場シェア拡大を目指す。さらに,画像とITを組み合わせて活用する情報サービス事業の立ち上げも行う。米General Electricから2002年に移籍したDan Kerpelman氏が引き続き担当する。

・商業:
 オンデマンド・デジタル・カラー印刷など企業顧客向けの商業画像処理サービスの開拓を進める。Kodak社商業印刷担当社長に新たに就任したJames Langley氏と,米Hewlett-Packardの元役員でKodak社社長となったAntonio Perez氏が担当する。

 なお同社が売上高目標を達成するには,財務状況の柔軟性を確保した上で,従来事業のキャッシュ創出能力を活用する必要があるという。そこで同社経営陣は取締役会に対し,半期の1株当たりの配当金を現在の0.90ドル(通期で1.80ドル)から0.25ドル(同0.50ドル)に減配することを提案していた。これを受けて取締役会は投票を実施し,この提案を受け入れた。

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