米IBMは,米Morgan Stanleyや米Hewitt AssociatesなどがIBM社のグリッド・コンピューティング・ソリューションを導入したと米国時間9月24日,発表した。また同社は,米SAS Instituteと米DataSynapseの協力を得て,銀行/金融業界向けのグリッド製品を開発中であることも明らかにした。
同社のグリッド・ソリューションを導入した主な企業とソリューションの概要は以下の通り。
・Morgan Stanley社:
米Intel製プロセサ・ベースのサーバー数100台によるグリッド上で財務分析アプリケーションを動作させ,処理時間を短縮できたという。
・Hewitt Associates社:
Linuxおよび「WebSphere」によるソリューションをグリッド環境で構築し,年金モデリング・アプリケーションを実行させた。このグリッド環境は,IBM社のメインフレーム「eServer zSeries」とブレード・サーバー「BladeCenter」,DataSynapse社のソフトウエア「GridServer」で構成している。「グリッドを導入したことで,Hewitt社はアプリケーションを書き換えずにトランザクション・コストを約90%削減した」(IBM社)
・ニッセイ基礎研究所:
日本生命保険グループの1企業。先ごろIBM社の東京研究所と共同で,モンテ・カルロ・シミュレーションを使った財務リスク管理ソリューションの処理時間をグリッド技術で短縮する研究を開始した。IBM社では,「研究は初期段階にあるが,これまで10時間かかっていた処理を49分で完了できるようになった」としている。
そのほかに同社は,シンガポールのNgee Ann Polytechnicとも共同でグリッド導入計画を進めている。
また同社は,金融関連の垂直市場向けグリッド・ソリューションをSAS社およびDataSynapse社と共同開発している。両ソリューションの内容は以下の通り。
・IBM Grid Offering for Analytics Acceleration:Customer Insight in Banking:
銀行業界向けの顧客管理処理にグリッド技術を適用するSAS社との共同プロジェクト。SAS Banking Intelligenceに含まれるSAS Credit Scoringを使用し,手間をかけずに同アプリケーションのグリッド対応化が可能であることを示す。顧客は特別なプログラミングを行うことなく,「プラグ・アンド・プレイで」(IBM社)グリッド環境を使える。
・IBM Grid Offering for Risk Management and Compliance:Capital Markets and Retail Banking:
信用リスク管理をリアルタイムに監視するためのグリッド・インフラを,DataSynapse社と共同開発する。「このソリューションは既存のインフラを継続利用できるので,それまでに投資した資産を無駄にすることなく,より高性能,低コストで標準ベースのソリューションに移行できる」(IBM社)
さらに同社は同日,グリッド・コンピューティング向けミドルウエアを手がける米Avakiと米United Devicesと提携を結んだことも明らかにした。
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