米Gartnerは,企業におけるノート・パソコンのWi-Fi利用についての調査結果を米国時間9月23日,発表した。それによると,Wi-Fiを「導入しない」あるいは「導入を延期する」企業がまだ多い。しかし,モバイル機器を利用する社員はWi-Fiの利便性を実感しており,エンド・ユーザーの利用は急速に進んでいる。この結果,「ノート・パソコンのTCOは年間3~4%,金額にして197~325ドル上昇する」(Gartner)

 ただし,ノート・パソコンでWi-Fiを利用すると,自宅やホテル,空港ラウンジ,会議場,取引先など,会社と離れた場所で仕事をすることができるため,「生産性全体が向上することになり,コスト増は相殺される」(Gartner社調査担当バイス・プレジデントのLeslie Fiering氏)という。

 Wi-FiのTCOは,ノート・パソコンのOSによって異なる。「接続設定機能やWi-Fiのアクセス・ポイントを簡単に検出できる機能を備えたWindows XPがコスト削減に有効だ」(Gartner社)

 同社はWi-FiのTCOを低減する手段として,以下の内容をアドバイスしている。

・企業でWi-Fi導入計画がない場合でも,Wi-Fiポリシーを策定する

・Wi-Fiの脆弱性について,セキュリティ・アーキテクチャとポリシーを再検討する

・ユーザー,サービス・デスク,サポート担当者の教育を実施する

・支出内容を明確にするため,無線LANアクセス料金などの支出項目を追加する

 Gartner社は2005年までに,商用ノート・パソコンの80%が無線対応になると予測しており,「企業の意向に関わらず,企業エンド・ユーザーにおけるWi-Fi普及は確実に進んでいる。インターネットや企業ネットワークに手軽に遠隔接続できるWi-Fiはもはや無視できない存在となっており,企業はノート・パソコンでのWi-Fi利用によるコストを把握する必要がある」(Fiering氏)

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