米Sun Microsystemsは米国時間9月23日,Java技術を搭載したパソコンの販売に関して,ハードウエア・メーカー5社との提携を発表した。「デスクトップ・パソコン向けに最新のJava技術に対する需要が高まっていることを示している」(Sun社)

 今回,Sun社が提携を結んだのは,台湾のAcer,米Gateway,韓国のSamsung,東芝,中国のTsinghua Tongfang。これらのメーカーは,Sun社のJava実行環境「Java Runtime Environment(JRE)」の最新版を自社製品にプリインストールする。JREにより,あらゆるJava対応のWebアプリケーションやデスクトップ・アプリケーションが利用可能になる。「世界中どこでも,Windows搭載パソコンで,Webサイトの最新のJavaを実行できる」(Sun社)としている。

 Acer社とGateway社は今後リリース予定のデスクトップ・パソコンとノート・パソコンの新モデルに,東芝はほとんどのパソコン製品にJREを搭載する。Samsung社は,2003年12月より消費者および企業向けのデスクトップ・パソコンとノート・パソコンにJREをプリインストールする。Tsinghua Tongfang社は,消費者市場向けにJRE搭載製品を提供する。

 なおSun社は,米Apple Computer,米Dell,米Hewlett-Packard,米Lindows.com,米Red HatなどともJava技術のサポートに関して提携を結んでいる。今回新たに5社と提携したことで,「デスクトップ・パソコンの半数以上がJava技術を搭載するようになる」(Sun社)

 ちなみにWindows上のJava対応に関しては次のような背景がある。Sun社は1997年10月7日に,米Microsoftが同社製品のみに互換するJava製品を出荷したとして提訴していた。2001年1月23日に,Sun社とMicrosoft社がこの係争で和解に達し,Microsoft社はSun社のJava技術を使った既存製品(ベータ版を含む)の出荷を継続して行えるようになった。ただしそれは,Java 1.1.4が組み込まれているMicrosoft社製品に対してSun社が限定的に許可するもので,その有効期間は7年間となっていた。Microsoft社はWindows XPにJava VM(Java仮想マシン)を標準搭載しないことを決定し,2001年7月にその旨を発表した。

 Sun社は2002年3月,Microsoft社が「Javaプラットフォームの普及を妨害し,ライセンスを受けていないJava対応製品を配布した」として,Microsoft社を独禁法違反で提訴した。その際,Sun社はMicrosoft社に,1)「Windows XP」と「Internet Explorer」にSun社が開発した現行のJavaプラグインのバイナリ実装を組み込んで配布すること,2)Microsoft社のJava Virtual Machineの別途ダウンロード配布を中止すること,などを求めていた。

 この訴訟で,連邦地裁は2002年12月に,Sun社の言い分を認める判決を下している。連邦地裁はMicrosoft社に対し,Sun社のJava技術をWindowsに即座に搭載するよう仮命令を言い渡した。しかし,Microsoft社はこれを不服として2003年2月に控訴。連邦控訴裁は2003年6月に,Java搭載の仮命令を差し戻しとする判決を下した。

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