「米国の銀行業界は,目まぐるしく移り変わる環境下でコスト削減や利益確保を実現することが求められている。こうした課題を克服するために,銀行業界は今後もIT投資を続ける」。米IDCが米国の銀行業界におけるIT支出の調査結果を,米国時間9月18日に発表した。それによると,米国銀行業界のIT支出は2002~2007年に年間平均5%以上成長し,600億ドルに達する。

 調査は同社が2003年6月に,27銀行を対象に実施したもの。各社の戦略的優先事項と,これら優先事項でITが果たす役割などを質問した。戦略的優先事項としては,「規制条件への対応」「顧客関係の管理」「リスク管理」「コスト削減」「新規顧客の勧誘」などが挙げられた。

 米国の銀行業界では,今後も商品販路に向けたIT支出がメインとなる。ただし,最も成長が見込まれるのはバック・オフィス機能で,2007年にはIT支出の最大シェアを占めるようになる。

 「他業界と同様,銀行業界にとってITは経営全体に大きな影響を与える。ITへの支出いかんによって,コスト削減を実現しながら事業機会を広げ,サービスを提供することができるからだ。先進的な銀行は,ITが戦略的優先事項を実現すると同時に,業務効率化につながるものと見なすだろう」(IDC,U.S. IT Opportunity:Financial Services部門プログラム・マネージャのJessica Goepfert氏)

◎関連記事
「企業のIT予算は2004年に2%増加」,米AMR Researchが調査結果を発表
「2003年8月のIT支出動向,企業は増加傾向だが消費者は慎重」,米調査
「企業のeビジネスへの投資,IT予算の20%を超える」,米調査会社
「2003年8月のIT支出動向,企業は増加傾向だが消費者は慎重」,米調査
攻めに転じるメガバンク情報システム最前線:銀行編
米Bank of America,「オンライン・バンキングのアクティブ・ユーザーが600万人を突破」
「2003年3月はネット・ユーザーの1/5がオンライン・バンキングを利用」,米調査
世界のオンライン・バンキング利用状況,利用率トップはスウェーデン,日本は12位

[発表資料へ]