「NAND型フラッシュ・メモリーの部品価格が今年前半に下がったが,世界フラッシュ・カード市場の2003年売上高は強含みとなる模様」。米Gartnerが米国時間9月11日,世界フラッシュ・カード市場に関する調査結果を発表した。それによると,売上高は前年の19億9000万ドルから38%増加し,27億5000万ドルに達する見通しだ。

 Gartner社半導体グループ・アナリストのJoseph Unsworth氏によれば,「NAND型フラッシュ・メモリー部品の価格が2002年~2003年前半にかけて下落したことにより,顧客がコスト面で納得できるようになったため,フラッシュ・カードの普及につながった」という。

 ただし,フラッシュ・カードは複数のフォーマットが市場に出回っており,これらほとんどが互換性を持たない。その中で優勢なのはSDカードとメモリー・スティックである。2007年にはこれら2種類で,売上高ベースのシェアが合計65%に達する見通しだ。

 フラッシュ・カードは現在,主にデジタル・カメラなどで利用されている。デジタル・カメラの解像度向上に伴い,記憶容量の多いカードの需要が見込まれるため,フラッシュ・カードの将来的見通しは明るい。さらに携帯電話やデジタル・ビデオ・カメラへの普及が進み,2002~2007年にかけて,フラッシュ・カードの記憶容量は81%増加する。

 「長期的には,セキュリティなどの多彩な機能がフラッシュ・カードに組み込まれつつあることから,カードのデータ記憶容量を更に高める必要がある。携帯電話やデジタル・ビデオ・カメラなどフラッシュ・カードの用途が増えつつあり,今後も市場規模は広がりをみせる」(Unsworth氏)

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