米Microsoftは,ストレージ機器向けOS「Windows Storage Server 2003」のリリース開始を米国時間9月10日,発表した。米Dellや米IomegaなどのOEM各社が同ソフトウエアを搭載した製品を発売する。

 Windows Storage Server 2003は「Enterprise Edition」と「Standard Edition」の2種類を用意する。Enterprise Editionは大企業のデータ・センターに適しており,拡張性の高いファイル・ストレージ・サーバーを構築する。Standard Editionは,大企業の支社や部門,あるいは中小企業のファイル・サーバーやプリント・サーバーに向ける。

 Windows Storage Server 2003は,160Gバイトから40T(テラ)バイト以上におよぶ拡張性を提供する。シャドウ・コピー機能「Volume Shadow Copy Service(VSS)」やストレージ管理API「Virtual Disk Service(VDS)」など,「Windows Server 2003」が備える高度な技術を組み込む。VSSは,特定の時間におけるハードディスクの様子を瞬時に記録し,アプリケーション利用中にファイルをバックアップしたり,削除・破損したデータを短時間で復元できるようにする。

 そのほか,分散ファイル・システム(DFS)機能,8ノード対応のサーバー・クラスタリング機能,マルチパス入出力(MPIO)機能などを備える。ストレージ規格iSCSIに対応し,NASデバイスをIPベースのSANに容易に統合できる。

 Dell社は,Windows Storage Server 2003を搭載したNASシステム「PowerVault 770N」「同775N」を9月中に市場投入する。動作周波数2.4GHzあるいは2.8GHzの米Intel製Xeonプロセサを採用し,価格は4999ドルから。

 また,Iomega社は2003年第4四半期をめどに,既存のWindowsベースのNASサーバーをWindows Storage Server 2003にアップグレードする。

 Microsoft社によると,米EMC,Fujitsu Siemens社,米Hewlett-Packard(HP),INLINE社,MaXXan Systems社,NECなどもWindows Storage Server 2003搭載製品をリリースする予定だという。米VERITAS Softwareや米Computer Associates,米Quest Softwareなどのソフトウエア・ベンダーも同ソフトウエアへのサポートを表明している。

 またMicrosoft社は,同社のストレージ・ソフトウエアと技術に関するコミュニティ・サイト「Microsoft Storage Community」(http://www.microsoft.com/storagecommunity/)を開設した。顧客はストレージ専門家,開発者,製品マネージャから知識や情報を得たり,Microsoft社の技術スタッフとチャットを行うことができる。

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[発表資料(Microsoft社のプレス・リリース)]
[発表資料(Dell社のプレス・リリース)]
[発表資料(Iomega社のプレス・リリース)]