米SCO GroupをのCEOであるDarl McBride氏は,オープンソース・コミュニティに対して,コミュニティ内における自制の必要性を訴える書簡を米国時間9月9日付けで送った。

 同氏によれば,同社のWebサイトは一連のDoS攻撃を受けており,複数回にわたり顧客がアクセスできなくなる状況に陥っている。書簡では,オープン・ソース理論で著名なEric Raymond氏からのコメントを引用して,加害者がコミュニティの一員であることを明らかにしている。McBride氏は,このような行為が,結果的にオープンソース・コミュニティ自身を傷つける可能性があると警告している。

 同氏は,コミュニティ内で取り締まりを行なうだけでなく,そのような攻撃を撲滅させるとともに,加害者に法的制裁を与えるためのSCO社の努力に協力を呼びかけている。

 「企業がビジネスまたは法律上,オープンソース・コミュニティを怒らせるような見解を明らかにした場合に,コンピュータ攻撃の標的になる可能性があるという恐れを抱くような状況があってはならない。このような違法な攻撃が抑制されるまで,企業顧客や主流団体は,この種の振る舞いに関与している人物とは距離を置くようになるだろう」(同氏)

 SCO社は今年3月に「IBM社がLinux事業を推進するためにUNIXソフトウエアのライセンスを不正利用した」としてIBM社に対して30億ドル求める訴訟を起こした。また,「Linuxの使用に関する法的責任が商用ユーザーにまで及ぶ可能性がある」との警告を1500を越えるLinuxベンダーやユーザー各社に送付した。7月21日にはLinuxユーザーに向けに「Linux利用の合法性を認める」ライセンス・プランを発表している。

 また,書簡ではオープンソース・リーダーの1人であるBruce Perens氏のコメントを引用して,米SGI社が配布するLinuxソフトにSCO社のUNIX System Vのコードが組み込まれていると主張している。McBride氏は,この行為がSCO社に対する契約と著作権を侵害するものとして,SGI社との交渉を進めていることを明らかにした。

 「エンタープライズ企業に製品を受け入れてもらいたいならば,オープンソース・コミュニティは,主流団体が統治している規則と手順に従わなければならない。これこそが,グローバル企業にとって必要なことである。オープンソースの運命を決定するのは,SCO,IBM,そしてオープンソースのリーダーたちではなく,顧客である」(同氏)

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