米Oracleが米国時間9月8日に,企業グリッド・コンピューティングに向けたソフトウエア「Oracle Database 10g」「Oracle Application Server 10g」「Oracle Enterprise Manager 10g」を発表した。これらの製品で,統合グリッド・インフラ「Oracle Grid Computing」を構成する。

 「従来のITインフラは,コンピューティング・リソースやソフトウエアの統合と管理が難しく,組織ごとに孤立している状態だ。四半期に1度,あるいは1年に1度のピーク負荷時に対処するために設計されたシステムもあり,非常に効率が悪い。Oracle Grid Computingはこのような課題を克服し,時間,労力,コストの節約を支援する。業界標準のサーバーやストレージを順応性のあるインフラ上で共有できるようにする」(Oracle社)

 Oracle Grid Computingは,Oracle社のe-businessスイート「Oracle E-Business Suite」のほか,米PeopleSoftやドイツSAPといったベンダーのアプリケーションを走らせることが可能。

 Oracle Database 10gは,WWWベースの制御機能「Database Control」と自己管理機能を備える。Database Controlは図形表示の診断ウインドウを提供し,データベースの監視と性能確保を簡素化する。問題のあるアプリケーション・コードを検出し,より良いコードを提案して,自動的にデータベースを調整する。自己管理機能により,性能診断,アプリケーション調整,メモリー管理といった反復的な作業を自動化できる。

 また,Oracle Database 10gには,ストレージ設定と管理を簡素化する「Automatic Storage Management(ASM)」機能とクラスタウエア「Oracle Real Application Clusters 10g」が含まれる。OLAPやXMLドキュメント,空間位置情報を扱える。

 Oracle Application Server 10gはグリッド・コンピューティング環境で動作するアプリケーションの管理を向上する。ポリシー・ベースの負荷管理機能により,ハードウエア,ストレージ,ソフトウエアといったコンピューティング能力の設定変更を簡単かつ適切に実行できる。サーバー稼働率,エンド・ユーザーの反応時間,あるいは月末の会計といった予定事項に応じて,調整することが可能。そのほか,システムが停止した場合のデータベースとアプリケーション・サーバーとのやり取りを簡素化する「Fast Start Fault Recovery Architecture and Failure Notification(FaN)」を備える。

 Oracle Enterprise Manager 10gは,企業のコンピューティング・リソースを自動管理し,ポリシーと管理サービス・レベルの維持,事業条件の変更に応じた既存リソースの再調整を可能にする。Common Information Model(CIM)やWeb-based Enterprise Management(WBEM)などの管理標準をサポートする。

 Oracle Application Server 10gとOracle Enterprise Manager 10gは年内に利用可能にする。

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