キヤノン米国法人Canon U.S.A.の半導体装置部門が,2003年9月9~12日にカリフォルニア州モンテレーで開催される半導体関連のシンポジウム23rd Annual BACUS Symposium on Photomask Technologyで,遠紫外線(DUV)リソグラフィの性能を向上させる技術に関する論文2件を発表する。Canon U.S.A.社が米国時間9月4日に明らかにしたもの。

 シンポジウムで同社は,“vortex mask(渦マスク)”と呼ばれる技術と,フッ化クリプトン(KrF)リソグラフィを使ってプリントした100nm未満のコンタクトについて説明する。さらに,露光に使う光の波長よりも小さな構造を結像させる解像度向上技術(RET:Resolution Enhancement Technologies)についても発表を行う。

 Canon U.S.A.社ナショナル・アプリケーションズ・エンジニアリング・マネージャのTommy Oga氏は,「国際半導体技術ロードマップ(ITRS:International Technology Roadmap for Semiconductors)のペースで業界を進めるには,現行のリソグラフィ技術を発展させ,当たり前と思われている限界を超えなければならない」と述べる。「contact/viaプリンティングや,KrFを使った70nm以下の高密度パターンなど,現在のロードマップの障壁を破るには,革新的かつ総合的なソリューションが必要だ」(同氏)

 同社は,「2つのマスクを使って2回露光することで,将来のリソグラフィ技術で解像度を2倍に高める」としており,開口数(NA)0.68のKrFスキャナを使って70nm(140nmピッチ)未満のL/Sパターン(kpitchは0.38に相当)を製造したことを示す。同社によると,「論理的には0.25というkpitchも実現可能」である。

 またvortex maskを使うと,細かな間隔で極めて小さな“ビア(スルー・ホール)”を形成できるので,現行プロセスよりも半導体のサイズを小さくできるという。

 「これにより顧客は,製造装置の寿命を延ばせる。さらにプロセス速度を向上できることから,より小さな設備でより経済的な運用が可能となる」(同社)

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