米IDCは,アンチウイルス・ソフトウエアの世界市場に関する調査結果を米国時間9月2日,発表した。それによると,2002年のアンチウイルス・ソフトウエアの売上高は22億ドルに達し,前年と比べて31%増加した。この成長傾向は今後5年間続き,2007年には44億ドル規模に拡大する見込みだ。

 「『Blaster』『Nachi』『Sobig』といったウイルスやワームの猛攻撃により,アンチウイルス・ソフトウエアの必要性が浮き彫りになっている。ソフトウエア本体だけでなく,アップデートの重要性も忘れてはならない。企業は以前から,アンチウイルス・ソフトウエアは最新の状態でなければ意味がないことを認識していたが,消費者や小規模会社はやっとサブスクリプション・ベースのアップデートの必要性を理解し始めたところだ」(IDC,セキュリティ製品サービス部門リサーチ・マネージャのBrian Burke氏)

 ウイルスやワームは,現在ほとんどの企業が直面している脅威だ。米国企業325社を対象にした最近のIDCの調査によると,82%の企業がウイルスやワームの攻撃を受けた経験があるという。そのうち30%以上は,検出したもののすぐに撃退することができなかったと答えた。ウイルスやワームを検出しても,適切に削除しなければ,被害を受け続ける可能性がある。

 また,ウイルスやワームを検出する技術が向上するとともに,ウイルス制作者も同様に進歩する。最近の傾向としては,スパム・メールの技法を取り入れ,社会的技法を使って電子メールの受信者に悪意のあるファイルを開かせようとする。

 こうしたウイルスやワームの脅威に対抗するために,多くの企業は幾重にもセキュリティを装備する「レイヤード・セキュリティ」という手法をとっている。デスクトップ・パソコン用アンチウイルス・ソフト,ウイルス防止サーバーやゲートウエイ,コンテンツ・フィルタリングなどと,挙動分析技術や検出技術を組み合わせる方法だ。IDCは,従来のアンチウイルス技術と挙動分析技術を組み合わせた使用が増加するとみている。

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