米AT&Tは,米MCIと米ONVOYが組織犯罪を取り締まる「Racketeering Influenced and Corrupt Organization(RICO)」法などに違反し,同社に損害を与えようとしたとしてバージニア州西地区の連邦地方裁判所に提訴した。AT&T社が米国時間9月2日に明らかにしたもの。

 AT&T社は,MCI社とONVOY社がいわゆる「Canadian Gateway」計画で共謀したと主張。Canadian Gatewayとは,MCI社が米国務省などの政府機関の音声トラフィックをカナダ経由で迂回させて,電話サービス・プロバイダへの一部支払いを横領したという疑惑のこと。

 AT&T社は,訴訟で問題としているカナダ経由の迂回について,「電気通信業界で広く採用している合法的な慣習とは根本的に異なるうえ,まったく関係がない」と非難。「MCI社は,同社のネットワークで伝送すべき多数の通話をAT&T社のネットワークに乗せ,AT&T社が気付かずに処理してそのすべての料金を負担するよう画策した」(AT&T社)と説明した。

 なお,Canadian Gateway疑惑についてMCI社は,「米連邦検察局と話し合い,調査の本質を理解し,全力で協力することを約束した」(同社会長兼CEOのMichael D. Capellas氏)ことを7月28日に明らかにし,調査を受けていることについては認めている。

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